仰向きで寝ている妊婦さんが超音波検査の後などに、そのまま“ガバッ”と起き上がると「ダメよっ! そんな起き方をしては!」「横向きになって手をついて、そっと起き上がらないと!」と、あなたは声かけていませんか?
そう指導するのが日本の助産師の間では“常識”になっています。でも私は長年、これはいろんな意味で良くないと思っていました。
その理由は
・腹筋が弱り、ひどい腹直筋離開になりがち
・仙骨がどんどん突出する
・脊柱の柔軟性が良くならない
・胸郭が厚くならず、子宮は上に上がれず、子宮や胎児が下がりがち
・起き上がる時に肩・肘・手首が痛み、起き上がるのがつらい人がいる
・左右どちらか一方ばかりで起き上がっていると、全身がゆがみやすい
・腰痛重症者になりがち
などなどです。
“ガバッ”と起き上がるのは、もちろんお勧めできません。では、どう起き上がればいいのでしょう?
私は3ヶ月ほど前から、妊婦だけでなく全ての人に「
だるまさん起き」を指導しています。
この起き方のメリットは
・腹筋が弱らず、ひどい腹直筋離開になりにくい
・妊娠中に飛び出がちな仙骨が元に納まる
・脊柱の柔軟性が改善し、腕が丈夫になり、赤ちゃんを抱きやすい身体が作られる。
・胸郭が厚くなり、子宮は上に上がり、赤ちゃんが下がりにくい
・起き上がる時に肩・肘・手首が痛まず、気持ち良く起きられる
・全身のゆがみが改善しやすい
・腰痛重症者になりにくい
私は長年漠然とこの“だるまさん起き”が良いのでは? と思っていたのですが、ベーシックセミナー時に、この起き上がり方を提案したところ、アメリカ人の女性がたくさんお産する病院で勤務している助産師が、「アメリカ人妊婦は、みんなこの起き方をする。日本人のように、横向きになってからだと起き上がれない。上半身が大きいせいか、肩が痛いと言う」と言うので、やはり「だるまさん起きは正しい」と確信。
しかし、子宮が収縮している時は無理に起きるのはもちろんダメ。腹筋と腕力とで無理に起き上がるのもダメ。収縮していないことを確認してから“だるまさん起き”で起き上がってもらいましょう。
妊娠初期や中期から続けていれば、予定日近くになっても楽々起きられます。子宮が収縮していない時に、この起き方で起きたからといって、子宮が収縮した人に、私はまだ一度も出会ったことがありません。
まずは、あなたご自身でやってみてください。
ポイントは
1.片方の膝裏で手を組んで起き上がる
2.尾骨を天井方向に上げる
3.上げている方の脚を床方向に振り下げる
左右それぞれ片方の膝裏で手を組んで起き上がってみて、初めに、起き上がりやすい方で起きましょう。子宮収縮が起きないことが分かったら、起き上がりやすい方で5回“だるまさん起き”をして、その後、起き上がりにくい方で5回しましょう。
自分で“だるまさん起き”の快適さが分かったら、妊産婦さんにも、ぜひ指導してあげてください。
できる人は毎回“だるまさん起き”をしてもらいましょう。
トコちゃんベルトより高い位置に、パンツ・ズボン類のゴム跡が付くのは、絶対にダメ。大きなマタニティショーツなどは有害無益です。