大村祥恵先生のコラム
「幼子を抱え転居続きでも、人のつながりを作り、学び、働き続けて」

 
はじめまして。鹿児島県霧島市で「助産院 骨盤ケア相談室 詩音(しおん)」を開業している大村祥恵と申します。

私と骨盤ケアとの出会いは約10年前です。今までの疑問が骨盤ケアの理論で解決し、さらに技術を取り入れたところお産がうまく進むようになりました。一緒に夜勤していた時に同僚が言った「大村ちゃんのお産って出血少ないよね」の一言は、今でも忘れられません。

勤務先に骨盤ケアを導入でき、もっと勉強を続けたいと考えていた矢先、主人の転勤で鹿児島から三重に引越しになりました。せっかく骨盤ケアの種を職場に蒔き、これから始動しようという時に退職するのは、残念で悔しい思いでいっぱいでした。
しかし、セミナーが多く開かれている名古屋や京都・大阪に近い三重への転勤は、骨盤ケアをより深く学ぶチャンスでもありました。ケアのさらに深い内容である、ベーシックセミナーを受講し始めたのは、三重に引っ越して間もなくからで、修了と同時に二人目をすんなりと妊娠することができました。さらに上のレベルのカイロプラクティックセミナーを受講し始めたのは、長女3歳・次女6ヶ月の頃でした。

頼る人のない土地で幼い子供を抱えての勉強は大変でしたが、頼るところがないからこそ、セミナーに通うために主人や友達の助けを借りるだけでなく、託児サービス・ファミリーサポートセンター・保育園・一時保育・病児保育などを、時と場合によって使い分けました。頼れる人を探すことにより、人のつながりを作り、頼り頼られる良い関係を生みだす行動につながり、知らない土地で自分を支える絆にもなりました。
できない理由を数えるより、できるにはどうしたらいいかを考えて行動したことが良かったと思いました。こうして得た知識・技術は仕事にとても役立ちました。セミナーで知り会った助産師の紹介で、骨盤ケアを取り入れているクリニックに勤務できました。骨盤ケアの知識があったので、職場でも相談される場面も多くあり、チームの中にスムーズに溶け込めました。
外来での骨盤位やお腹の形や硬さが気になる妊産婦さんには操体法を指導し、良い変化につながることで、患者さんから喜びの声をいただき、仕事の充実感も感じることができました。
こんな充実した三重での生活も、またも主人の転勤で終止符を打ちました。幸いなことに、転勤先が鹿児島だったので、地元に腰を落ち着けることができました。

次の働き方を考えている時に、子育て中のママが幼いお子さんと行けるカフェの経営者と知り合いになりました。
何気無い会話で骨盤ケアを勉強したことを話すと、「カフェで教室をして!」と誘ってもらいました。実はカフェに集まるママ達から、腰痛や産後の骨盤についてのご相談が多いので、骨盤ケアができる人を探していたとのことでした。
初めは教室だけでしたが、参加者から「妊婦をみてくれる所がない」「産後の骨盤ケアは どこでしてもらったらいいか」という声をいただくようになりました。身近に骨盤ケアの相談ができる場所があれば安心できるのではと考え、このことが助産院を開業するきっかけになりました。

「助産院 骨盤ケア相談室詩音」では、施術や各種教室の開催 (トコちゃんの骨盤ケア教室・骨盤安産教室など)、トコちゃんベルトの販売・相談などを行っています。教室などでは産後ママが多く、受講後に「妊娠中から知りたかった」との感想が寄せられます。
一人でも多くの人達に骨盤ケアについて伝え、そして必要な人達のもとにこのケアが届けられるよう、情報発信をしていきたいと思います。助産院での教室の予定や、ケアの内容などの詳しい情報は「詩音」のブログやfacebookをご覧ください。

開業した現在も骨盤ケアを通じてたくさんの方々とのご縁をいただき、成長させてもらっています。今後もしっかりとした知識・技術を提供できるよう、骨盤ケアの研鑽に励んでいきたいと思います。
まだ、開業したてで何もかもが模索中ですが、ママ達に産前・産後の体のことを相談できる助産院があることを、まずは知っていただき、地域に密着した活動を展開できるよう頑張っていきます。