沖縄県の開業鍼灸師 玉城 柔理子 先生のコラム
私のような病弱な子ども時代を過ごす子が減りますように

 
【はじめに】
皆様、はじめまして。沖縄県で鍼灸をしています玉城 柔理子(たましろ なりこ)と申します。大阪の専門学校で鍼灸の資格をとった後、大阪の鍼灸整骨院で激務に耐えながら1年間働いたものの、体調を崩して退職。
沖縄に戻って来てからは、高齢者のご自宅や施設に鍼灸師などを派遣する会社に就職し、訪問治療に勤しんでいました。でも、それでは技術upにはつながらず、2年で退職して鍼灸院への弟子入りを決意。そこで小児ハリを得意とする師匠に出会い、小児ハリを学ぶきっかけになりました。2年間学ばせていただき、現在開業して7年目になります。
結婚はしたことがなく、出産や育児経験もない私が、コラムを書いてもいいのか悩みましたが、信子先生に背中を押され、挑戦してみることにしました。

【おとなしく病弱だった子ども時代】
私は小さい頃から体を動かすのが苦手で、駆けっこや木に登ることはなく、端っこでおとなしく座っているような子どもでした。楽しかった唯一の記憶は、夏になると父に連れられて海にシュノーケリングに行ったこと。あの頃はまだ貝を獲ってもよかったので獲れたてのシャコガイ・ウニ・魚を、泳ぎながら食べていました。足がつかない所では父の背中に掴まっていたので私は泳げません(笑)
体に異変を感じたのが小学6年生の頃からでした。倦怠感がすごくて37.5度以上の微熱が続き、学校から帰ると起きていられませんでした。病院で検査を繰り返し「膠原病の疑いがあるが、治療するほどではない」と言われました。
それからが我慢の生活でした。生理痛も酷く2時間おきに薬を飲んでも効かず、のたうち回って、痛みの限界がきたら嘔吐してやっと眠れる。便秘もひどく1週間出ず、出たと思ったら下痢が続き、朝起きたら便が出ず気持ち悪くて嘔吐する。そんな毎日でした。やがてそれが当たり前になり、苦しいことだと思うことすら無くなりました。

【鍼灸師に】
高校3年生になったときに、進学先を決めるための学校説明会へ参加しました。色んな学校がある中に、鍼灸学校のブースがあり「ハリ 打たれてみる?」と言われ、怖くて断ったのですが友達が「やって欲しい!」と言って、腕にハリを打ってもらっている姿を見て、「なんだ、この仕事は?!」と衝撃を受けました。
その後、家に帰ってからも鍼灸が気になり、ネットで調べると東洋医学というものがあると知り、「もしかしたら私の体も治るかも!」と思い、次の月には大阪の鍼灸学校のオープンキャンパスに行っていました。一度も鍼を受けたこともなく、沖縄に鍼灸院があることも知らず、大阪の鍼灸の学校への進学を決めました。
その学校で食事の大切さを学び、先生に治療をしていただき、微熱や動悸が少しずつ改善していくのがわかりました。元気になっていく自分の体が嬉しくて、「健康ってなんて素晴らしいだ!」と感動(笑) 「これまでのツライ日常は、当たり前ではなかったんだ」と気づきました。

【姿勢ケア育児サポーター講座を受講】
開業して徐々に患者さんが増え、夜泣き・便秘・風邪などの症状で、小児ハリを求めてママに連れられて来院する子も増えてきました。そんな中、「うちの子よく転ぶんです」という声がちょこちょこ聞こえたので、「どうしてだろう?」と悩んでいたところ、諸喜田莉奈さんに「姿勢ケア育児サポーター養成講座を那覇で開けることになったので、受講してみない?」と誘われたのです。「何か発見があれば!」と思い、「ぜひ一緒に受けさせてください!」とお願いしました。

仲真衣さんから姿勢の大切さを学ぶ中で、「姿勢と体調はこんなにも関係があり、影響しあっているんだ!」と気づきました。最近はスマホやゲームが多くなり「姿勢!」と言われますが、「ゲームをするから姿勢が悪くなるのかな?」と思っていましたが、まさかの乳児期から、さらに、その前の胎児期から姿勢が大切と知り、衝撃を受けました。
トコちゃんベルトの着け方も習い、着けてみると「体が揺れない!!」。体って揺れるものだと思っていた私は感動しました。
真衣さんに「私の体とそっくり、本人にしかこのつらさは分からないよね」と言われ泣きそうになりました。私の体調不良は骨盤の上にある背骨、そして、それによって作られた姿勢から来ていたのだと学び納得しました。

さっそく患者さんにも骨盤の大切さを伝え、妊婦さんにトコちゃんベルトを勧めると腰痛が軽くなり、お腹もふんわりして、「胃のムカムカや気持ち悪さがなくなった!」「胎動を感じたよ♪」など、「ベルトなしではいられない」という声が聞かれるようになりました。
60代の股関節痛の方にも勧めたところ「歩きやすくなった。膝の痛みも軽くなった」と、喜びの声が届き、私も嬉しくなりました。

【もっと知りたい】
トコちゃんベルトの効果を感じ「もっと知りたい」と思って、メンテ“力”upセミナーに参加しようと何度か申し込みをしましたが、コロナの影響で流会に…(-“-; そんな中、諸喜田莉奈さんが沖縄誘致に成功! セミナー2日間+渡部信子先生の施術会2日間、計4日間、今年の6月28~7月1日に沖縄で開催できることになりました。
名護・那覇での施術会の記録係を担当した私は、施術や施術後の変化などを、ずっと間近に見ることができました。「すごい!」と思ったことが多くてまとめられず、箇条書きで紹介いたします。

♦︎「体調の悪いところはありません」と言っていた女性は、施術が進むにつれ顔色が良くなり、施術が終わって立ち上がると、驚いたように「足が軽い! 私、体しんどかったんだ」と。
♦︎子宮が下がりカチカチのお腹の妊婦さんは、首の調整後、お腹がフワフワに。メンテ“力”upセミナーで習った首と子宮の関連が実際に見られて感動。
♦︎ずり這いができなかった生後6ヶ月の赤ちゃんは、次の日からずり這いができるようになり、行動範囲が広くなり、顔つきも変わった。

私も施術を受けた後、体がふわ〜とした感じで軽く、楽に動けるようになり、次の日から頭がスッキリして、無駄な動きのない仕事ができるようになりました。はるばる沖縄まで来ていただいた信子先生と真衣さんには感謝でいっぱいです。

【那覇でメンテ“力”upセミナーを受講】
姿勢ケア育児サポーター養成講座を受けていたおかげで、1日目の座学は話が頭に入って来やすく、頸と骨盤の大切さを改めて納得しました。
生活様式の変化により、60年前の人と比べて筋力や靭帯が弱くなっていると聞き、「車社会の沖縄は大変だ~(;’∀’) 歩く時間を作ろう!」と、自分に言い聞かせました。
2日目の実習では、各種トコちゃんベルトの着け方や、トコサポート・おなかまきの着け方の実習だけでなく、骨盤・肋骨弓・腹直筋の触診などがたくさんあり、皆で触り合いっこしながら、とても楽しいひと時を過ごしました。
実習を通して、いろんな骨盤の人がいることや、現代人の骨格の特徴を知ることができ、とても濃い内容でした。
また、操体法の実習でも感動しました。なんてことない動きのようだけど、体が軽くなったり、仙骨のゆがみが取れたり…。痛いストレッチとは全然違って気持ち良く、信子先生の歌声が素敵すぎて、操体法しながら意識が飛びそうになるのを、必死にこらえました!(笑) 今でもあの歌声が忘れられません(^^♪
寝る前に操体法を行うと睡眠がとても深くなり、力の抜き方がわかるようになり、自分の体と向き合う大切な時間になってきました。この様に体感した操体法を、患者さんにもどんどんお伝えしています。

【東京の大学に在学中の大学患者さん】
頭痛のため通っていらっしゃる大学生の患者さんは、1年ほど前から頭痛が悪化し就職活動とも重なり、精神的にも苦しくなったそうで、沖縄で療養されています。頭痛のため漢方薬を毎日服用し、月に1度注射を受けに東京に行っているとのこと。
体を触ると頸肩はガチガチ。背中はカーブがなく真っ平ら。「これじゃ~頭痛も精神的にも辛くなるな~」。「これはメンタルが弱くて落ち込むのではなく、体のせいだよ。体が良くなるときっと頭痛も良くなってくるよ」とお伝えし、鍼灸をしながら操体法をやってもらいました。
次の治療日には頸肩の凝りがだいぶ取れて、硬いお腹もふんわりに。「操体法が気に入ったので、毎日続けている」とのこと。親御さんも「マイナス発言がなくなりました」と嬉しそう(⌒∇⌒) ですが、骨盤は安定せず、トコちゃんベルトで支えないと良くならなさそうなので、次回、試着してもらおうと計画中です。

【これからは】
正直なところ、出産経験のない私が経験していないことを伝えるのはとても難しく、「こんな私がケアに当たってもいいのか?」と、逃げ出したくなることもあります。ですが、「私のような子ども時代を過ごす子が少しでも減ってほしい」との想いの方が強いため、今の仕事から逃げ出すことはしません。
先ずは今、通ってくださっている患者さんにメンテ“力”upセミナーで学んだことをしっかりと伝えながら、妊娠する前の女性には特に、骨盤の大切さを理解してもらいながら経験を積み、1人でも多くの人に頼りにされる鍼灸師になっていきたいと思っています。