三重県の医院勤務看護師 西口由美さんのコラム
「赤ちゃんとお母さんが主役」の分娩を目指し教室を展開
【はじめに】
三重県四日市市の医院勤務看護師、西口由美です。「うちのお母さんは看護婦さん」それが幼少期から私の自慢で、同時に働く母に憧れていました。
当然、看護師を目指すようになった私は、まっすぐに憧れの看護師になりました。
初めての職場はNICU。未熟児や障害を持った赤ちゃん、その家族と接しているうちに「妊娠中に防げなかったのだろうか?」と考えるようになり、NICUにベビー搬送件数が多いA産科医院に転職しました。
ここでは初産婦の約8割は麻酔分娩で、私自身が思っている「赤ちゃんとお母さんが主役」の分娩とは違い、結婚を機に退職しました。
【不妊】
三重県四日市市に引っ越し、B産科医院で働いていましたが、なかなか妊娠せず、不妊治療を受けようと決め、今度は福利厚生の厚い公立のC総合病院に就職しました。
「まさか? 私が不妊症? 病気なんかしたことないのに?」と思いながら始めた不妊治療でしたが、これといった病名もつかず、治療日数と出費だけがかさんでいきました。
そんな時「体質改善」という言葉を知り、本を読んでみたところ「あなたが食べた物、飲んだ物以外であなたの体はできない」「今の日本人は、食べ物が溢れているが栄養不足。その結果、妊娠する力も低下した。発展途上国の人の方が多産」と\(@@)/ 衝撃的でした。
私自身に目を向けると、BMI=17、痩せていて冷え性、不眠症などなど…。「普通に生活できている=健康」と思っていた私は、病気の一歩手前、典型的な“未病”だと気づきました。
それからは栄養を考えて食べ物に気を配り、体を整えるために整体に通い始めたものの、すぐにズレ戻り、整える⇔ズレ戻る、のくり返し…(-"-)。
それでも、不妊治療を始めて4年目に体外授精で長男、6年目に体外受精で次男を授かりました。
【骨盤ケアとの出会い】
長男のときは全前置胎盤だったため、予定帝王切開で出産しました。次男の妊娠後期にさしかかったある日、急に恥骨あたりの痛みとともに、足が前に出なくなりました。
知識のなかった私は「骨盤ケアは経膣分娩の人に必要なもの」と思っていたのに、歩けなくなった私を見た同僚の助産師に薦められたのが、トコちゃんベルトI。これが、骨盤ケアとの出会いとなりました。
トコちゃんベルトを巻いた日から歩けるようになり、翌日からは、痛みも消失。正直「このベルト1本でこれほどの効果が?」と、ビックリした私は渡部信子先生の本を参考に体操とベルトで自身をケアすることを覚えました。
栄養と体を整えたことにより、何と!39歳で自然妊娠し、40歳で既往帝王切開ですが、無事に元気な三男を出産しました!
そして、振り返ってみると、長男も次男も眠りが浅く、産後は万年寝不足状態でしんどかったのに、三男のときに“まるまる育児”を試してみてビックリ!
「もっと早く知りたかった〜」が正直な感想でした。
「赤ちゃんってこんなに寝るの?」から、心に余裕が持てた結果、心底「赤ちゃんってこんなに可愛かったんだ!」と思ったのと同時に、長男、次男に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
私の経験から、妊娠、子育てには「親が知識を持つことの大切さ」「自身をケアし心身ともに健康でいることは、子どもの幸せにつながる」ことを学びました。三男出産後、不妊治療をしていたことを知っている後輩や知人から、相談を受けるようになり、体を整えることの大切さを伝える機会が増え、「伝えるには、しっかり学ぼう!」と、子育てが一段落したのをきっかけに、メンテ“力”upセミナーを受講しました。
公立病院では、アウトプットの場も限られると悩んでいる時に、後輩から「新しく開業したクリニックで一緒に働いて欲しい」と誘ってもらい、現在のクリニックの面接を受けました。
面接の時「ここで働かせてもらえるなら、骨盤ケアと“まるまる育児”の教室をさせてほしい」と伝え、就職が決まりました。
【職場では】
当院の常勤医師は2人。病棟の常勤助産師は9名、常勤看護師は5名で、月に約60件の分娩件数があります。ところが、私がB産科医院で働き始めた20年前と比べて、スムーズなお産が少なくて忙しいのです。その理由は「回旋異常、分娩停止が増えているからでは…?」と感じました。
これは、信子先生が話されているように、生活スタイルの変化から骨盤が変化したためだと感じ、現代人が経膣分娩を希望するならば、骨盤ケアが必須だと痛感するようになりました。
医師2人とも骨盤ケアに理解を示し、私の就職後にトコちゃんベルトを取り入れてくださいました。私たちスタッフの意見や希望を汲んでくださり、麻酔分娩は基本的に実施していません。
でも、骨盤ケアへの関心はスタッフ間で差が大きく、私一人でできることはわずか…。どうしたものかと思案しているうちに、トコ・カイロプラクティック学院で骨盤ケアアドバイザー養成セミナーを一緒に受講した助産師 児玉さんが就職してきたのです(^0^)。
トコちゃんベルトを使用する患者さんが増え、産後の排尿障害での導尿件数が目立って減り、今はコロナのため、Zoomで月に1回、教室を開催するまでに至りました!
児玉さんと力を合わせて「この教室の回数をもっと増やしたい」「スタッフ全員の骨盤ケアに対する意識を高める」これが今の私の課題です。
8月からは、当院のスタッフ助産師2名、看護師1名が新たにセミナーを受講することになり、これからの骨盤ケア・“まるまる育児”の普及にアクセルがかかりそうで楽しみです!
【体操教室と施術会】
私の自宅近くの公民館の和室で月2回、当院内で月1回、体操教室を開いています。
先に始めたのは公民館教室で、ある先生から習った骨盤体操を主な内容として2年前に始めました。主な対象は私と同年代の女性で、多くは私の子どもを通して知り合ったママ友です。
もうすぐ更年期にさしかかるママ友達は、産前、産後に骨盤ケアを知らないまま出産を終え、尿もれや腰痛、産後の体型の崩れなどの悩みを抱えています。そんな生徒さん達と一緒に過ごすひと時は、私自身のセルフケアタイムにもなっています。
トコちゃんベルトアドバイザーを取得した後、院内教室を始めました。対象は当院出産予定の妊娠16週以降の妊婦さんと、当院で出産された産後1ヶ月〜半年までのママです。
今の内容はどちらの教室も、日常生活の注意点、食の見直し、自宅でできるセルフケア体操、トコちゃんベルトの紹介などです。
院内骨盤教室は、大変人気で予約がなかなか取れないため、どうしても受けたい方や、継続して教室に通いたい方は、公民館教室に通ってもらっています。
気になる体の人が多く、体操教室や私のケアではなかなか良くならないため、名古屋サロンをお勧めするのですが、ほとんどの人は「名古屋は遠い~っ」と尻込みします。
四日市・名古屋間はJR・近鉄とも、40~50分。決して遠くはないのですが、家と駅の間さえ歩く習慣がない人達が多いからです。
そこで、渡部信子先生に「四日市まで施術に来てもらえませんか?」と声かけたところ快諾してもらえ、早々と8月に開催が決まりました!
院内はまだ面会制限がかかっているため、会場はいつもの公民館。施術対象の優先度は、(1)スタッフ (2)当院出産予定妊婦、産後の母と子 (3)私の体操教室メンバー (4)一般 として、募集しようと考えています。
【終わりに】
一生のうちで1回か2回の妊娠・出産・育児を楽しく経験できる幸せな親子が増えるためにも、栄養を満たし、骨盤ケアと“まるまる育児”を一人でも多くの方にお伝えできるよう、これからも皆さんと一緒に学び続けたいと思います。
そして、私が母に憧れ、尊敬したように、元気で健康なママが増えるよう願いながら活動し続けます!