ベビーサイン協会代表 吉中みちる先生のコラム
日本中に広めたいベビーサイン

 
【はじめに】
皆さま初めまして。一般社団法人日本ベビーサイン協会代表の吉中みちるです。
渡部信子先生との出会いは、ちょうど1年前、トコ助産院研修会(明和政子先生講演会)に参加したときでした。
その後はSNSで交流するくらいだったのですが、先月、先生のスーパー施術で万年肩こりの私を救ってくださったときに、今回のコラムのお話を頂きました。

【万年肩こりから解放!】
手芸が好きで運動があまり得意でない私は、肩こりは一生付き合っていくものと諦めていていました。ところが最近は頭痛、肘の痛み…と拡大。
これはこのままではいけないな~と思っていた頃に、運よく名古屋サロンで診て頂けることになりました。
当日、先生は丁寧な触診の後、見事なスピードで私の体のゆがみを見つけては、ポキポキッ!
体のゆがみが直っていく音だとわかっていても、初体験の私はその音を聞くたびにドキドキ。
でも、終わってみたら何ともスッキリ! これはまさに神業ですね。

その道のプロの信子先生から「ベビーサインの良いところ、いっぱい書いてね」とコラムの依頼を受けたときには、嬉しくて飛び上がったほどです。
この貴重な機会。誤解も多いベビーサインについて、ちょっと熱く語らせてください。

【いつになったら話し始めるの?】
「うちの子、いつになったら話し始めるのかな?」って、育児中の親だったら誰でも一度は思いますよね。
6歳までの発達判定法である「デンバー発達判断法」によると、1歳半で意味のある単語を1語でも話すのは90%。
「ママこっち」「ブーブー見て」などの2語文を話すのは、1歳7か月で25%、2歳4か月で90%と言われています。
この数字…、どうでしょう? 9割の子が1語を話す1歳半も、9割の子が2語文を話す2歳4か月も、ずいぶん遠く感じませんか?

【ベビーサインって?】
このようにまだ上手に話せない2歳までの子に、大人が手の動き(手話やジェスチャー)を添えて語り掛け、コミュニケーションを取りながら楽しく育てよう!というのがベビーサインです。
すると、手の動きに意味があることを理解した子は、自ら手を動かしてコミュニケーションを取り始めます。

でも、「いずれ赤ちゃんは話し出すのに、こんな面倒なことを教える必要があるの?」という質問をよく頂きます。
確かに…。ベビーサインはできなくても生死にかかわるものでもないし、無ければないで全然困らないかもしれませんが…。

ベビーサイン協会の独自のアンケート調査によると、ベビーサイン教室に通っているお子さん(サイナー)は、卒業までに平均で77語のサインを使いこなせるようになりました。
卒業時は1歳半~2歳と幅がありますが、あまりお喋りができない時期にこれだけのサインを使って会話ができると、どんな世界が待っているでしょう?


【エピソードご紹介】
★その1(pyonkichiさん)
週末になるとパパとワインを飲むのが私の楽しみ。ある日、その様子を見ていた息子が【飲む】のサインで、僕もそれ飲みたい!って伝えてきました。私は「これは、ワインだから、飲めないわ~」と伝えると、息子はびっくりした顔をして【ワニ】のサインをしました。ママ達が飲んでるのは【ワニ】なの? それは無理だわ~可愛い聞き間違いでした。

★その2(M教室の生徒)
いつも一番の早起きの娘。なかなか起きられない私のところに来て【バナナ】【牛乳】【パン】【イチゴ】【食べる】【いただきます】【手伝って】これだけサイン並べられたら、はいはい、起きますよってなりますね。

「ベビーサインなんてなくても、指差しや昔ながらのジェスチャーで充分に伝わるわよね」。これもよく言われますが、指差しや限られた数のジェスチャーで、果たして上記2例のような内容が伝わるでしょうか?
大人が思っている以上に、赤ちゃんは明確に伝えたい思いがあるんですね。
こちらが読み取ってあげさえすれば、その思いは十分に伝わるでしょうか?

【ベビーサインの始まりとメリット】
2000年に生まれた我が子とベビーサインを楽しんだ記録を2002年に出版。これが日本人初のベビーサイン体験本となり、日本に広がるきっかけとなりました。
どうしてもベビーサインを皆さんに広めたいと私が強く思ったのは、納得できるたくさんのメリットがあったからです。

◆メリット1 ぐずぐず泣きが激減
赤ちゃんからの「伝わらない思いや欲求」が、ベビーサインでゼロにはなりませんが激減します。
ぐずぐず泣きが減るのは、お喋りできない時期から、「ちゃんと通じ合えている」という親子関係ができている証拠です。
そして、赤ちゃんを一人の人として尊重できているから、大人からの押し付けや、無理強い、決めつけが減ります。

この経験の積み重ねにより、イヤイヤ期をスムーズに乗り越えられるなど、育児に自信が持てるようになります。
20歳と17歳になった我が家でも、ベビーサインのお陰で家族全員が助けられたことは計り知れません。

◆メリット2 我が子をよく見るようになる
我が子をよく見ることなく、ネット検索ばかりして「赤ちゃんのことがわからない」と悩むママ達、多いですよね。
ベビーサインを教えるときには、アイコンタクトを取り、ゆっくりとベビーサインを見せながら、普段の語り掛けをします。
すると、目の前の我が子のことを自然とよく見るようになるので、子育ての困りごとの原因に気づくことができ、育児のイライラや問題が減ります。
我が子をギュッと抱きしめたくなる瞬間もどんどん増えますよ。

◆メリット3 話し始めた時に、とってもお喋りになる
ベビーサイン育児を始めると、毎日たくさんの語り掛けをする自分にびっくりすることも!
この言葉のシャワーを浴びさせることが、話し言葉の発達に良いことは過去の研究でも証明済みです。さらに、生後すぐから親がどれくらい、どんな風に話しかけていたかが重要と言われています。
そして、この語り掛けの差は小学校での成績の差にもつながるんだそうです!

話し始めるタイミングは個人差があるので、サイナー全員が早く話し始めるというデータはありません。
でも、話し始めるときには、使いこなせる語彙が既に頭の中にたくさんあるので、使ってきた手の動きを音声言語に置き換えるだけで済みます。これが、お喋りの原因になるようです。

たくさんの親子を今まで見て来られた信子先生から、「目を見て、たくさんの言葉を使って喋る子は、たいてい、お母さんが産後すぐから“まるまる育児”で育て、ベビーサインをしながら、上手に話しかけて育てた子やな~。そんな子は4歳くらいになると、自分で状況判断して、それを言語化しながら行動する子になっている。すごい」と聞いたときは感激でした。

◆メリット4 絵本(本)が大好きになる
活字離れが久しい日本で、ベビーサインで育ったお子さんの91%が絵本(本)好きに育つというのは、驚きではないでしょうか?
これはベビーサイン協会独自の調査結果なのですが、なぜ、絵本が好きになるのでしょうか? それは…
◇1. 親御さんが赤ちゃんとの楽しみの一つとして、読み聞かせを自然と日々の育児に取り入れている。
◇2. 赤ちゃんは、絵本の中に自分が知っているものが出てくると、サインで得意げに大人に伝えるという経験を積み重ねている。

赤ちゃんは元来「教えたがり」。これは、【クマ】さん! 次のページには【リンゴ】が出てくるんだよね。あっ、これとこれ【同じ】だ!
自分が知っていることを、ちゃんとサインで確認しながら伝えられる喜びは、お話ができるようになって、文字が読めるようになってからも、読書という形でずっと残ります。
これは、後に「勉強しなさい!」と言われなくても、やるべきことを見極めて取り組む姿勢につながります。

◆メリット5 家族みんなが育児に参加できる 
ワンオペ育児が多い日本。どうせパパは頼りにならないから、自分でやった方がイライラしないしスムーズ。こう思っているママが多いのではないでしょうか?
パパだって時間とスキルがあれば、育児に参加したいって思っているはず。でも、喋らない子にどう接したらいい…? それが現実では?
そこで、ベビーサイン! 赤ちゃんがいくつかのサインを使えるようになっていれば、普段育児に参加していないパパだって楽勝。
ママからいくつかのサインだけ教えてもらったら、お留守番だってバッチリ。だって、赤ちゃんが意思表示してくれるから。
今食べているごはんが気に入ったら、赤ちゃんは【もっと】とリクエストし、パパがもっと食べてほしいな~と思っても、【おしまい】と教えてくれるので、グズられる前にやめられます。
絵本の読み聞かせだって、赤ちゃんがいっぱいサインをくれるので、一人芝居感を味わうことなく楽しめますよ。
このように子育てに参加できるとパパも自信がつき、夫婦の会話がぐんと増えたという喜びの声もあるんですよ。

【やってみませんか? ベビーサイン】
これだけのメリットを実感するには、一つ重要なポイントがあります。それは、使えるサインの数。50~60個だと思います。
ベビーサインは教え込もうとしたり、赤ちゃんに無理強いをしたりは禁物。そんなことをしたら、親子ともに楽しくないですからね。
周りの大人から押し付けられないのに、サイナーがたくさんのサインを使いこなすのは、ベビーサインがとっても便利で自然で、楽しいからではないでしょうか?

2004年の協会設立以来、全国で無料体験会を開催。母子が気軽に参加でき、育児相談の場ともなっているベビーサイン教室が全国各地に約550か所、年間約5万人の方に楽しんで頂いています。
その中で何年も続けて生徒数No.1に輝いているのは、このコラム ⇒
https://tocokikaku.com/column/column.php?CLM_NO=241 を書かれた助産師 池田匠美先生の“みひかるサロン”です。

来月、池田先生は(有)青葉オンラインセミナーで、「~母子の体と心もまるく、その秘訣は胎児から~」の演題で講演されると聞き、ワクワクしています。
これは、ますます心を込めて日本中に広めていかなくては! ベビーサイン、楽しいですよ。やってみませんか?
詳しくは⇒https://www.babysigns.jp/ をご覧ください。