愛知県の勤務助産師 Eさんのコラム
辛い経験を糧に、頑張れる幸せを感じてます
【はじめに】
初めまして、20代後半で助産師7年目の勤務助産師 Eです。
このコラムを読み始めたのは昨年からで、コラムを通して先輩方の様々な経験から学ぶことができ、配信をとても楽しみにしていました。
コラム執筆のお話を頂いたとき、「今までコラムを書かれている先輩方に比べて、経験も浅い私がコラムを書かせて頂いていいのだろうか?」と悩みました。
でも、書かせて頂くと決めたのは、①私にとって30代スタートに向けて一つの区切りとなること。②20代の助産師にとっては、悩んでいるときの身近な事例の一つになるといいなと思ったからです。
【トコ企画との出会い】
トコ企画との出会いは、助産学専攻科卒業時にクラスのメンバーで「みんなで受講しよう!」と、助産師国家試験直後の3月に受講したメンテ“力”upセミナーでした。
ただ、わずかな臨床実習経験しかないときでしたので、エビデンスまで理解して実践できるには程遠い状態でした。
翌4月、大学病院に就職し、NICU・GCU配属となりました。
ベビーについて学ぶこと、業務を行えるようになることに必死だったため、せっかく出会えたトコ企画でしたが、離れてしまいました。
3年目後半になり、少しずつ余裕が出てきた時期に先輩に声をかけて頂き、トコ企画の新生児ケアセミナーを受講しました。
抱っこ・哺乳・排気の仕方など、すべてにおいてエビデンスが追加されていて、私の看護は“優しくない看護”になっていたことに気づいたのです。
3年間「ハイリスク管理の看護を学び、必死にベビーと向き合って働いていた」と思っていたので、とてもショックでした。
同時に、このセミナーを紹介してくれた先輩に言われていた「あなたの手は強すぎる」の意味が、やっと理解できたのです。
“緊張させるから緊張をほどける看護”を目指して働くうちに、少しずつですがそれに近づき、看護力が上がるのがわかるようになりました。
また、家族への育児指導も改善し、楽しい育児をスタートできるようにとさらに力が入り、今まで以上に看護の楽しさを味わえるようになりました。
その後、産科病棟で働くようになり業務を一通り動けるようになったとき、先輩方のように「助産師として介入できることを追求しきれていない」と悩むようになりました。
メンテ“力”upセミナー受講時は、未だ就職もしていない時期で、産科病棟で働くようになったとはいえ、妊産婦さん達に十分なケアを提供できるはずがありません。
メンテ“力”upセミナーで学んだ半分もできていませんでした。
産科急変時の対応の資格の取得や、産科婦人科診療ガイドラインに書かれていることだけでなく、「助産師としてのケア力を上げたい」と思うようになりました。
そんなとき、前回受講時に十分に理解できなかったメンテ“力”upセミナーを再受講したところ、経験した事例を通してイメージでき、さらに面白く感じました。
受講後、次の日から仕事の中で実践でき、妊産婦さん達の反応から学ぶことが増えてきました。
産科で働き、学ぶこと、成長できることが楽しくてたまらない日々でした。
プライベートも充実し、様々な周産期分野の研修やトコ企画のセミナーだけで満足していた私でした。
ところが、尊敬する先輩からトコ・カイロプラクティック学院の総合ベーシックセミナーの受講を誘われ、背中を押された勢いで準備を始めました。
【いきなりの体調不良】
そんなある日、急に強い眩暈を感じ、立つことも横になることもしんどくてたまらなくなったのです。
大学病院で検査をしても診断がつかず、症状だけが残り、休息期間をとっても元の生活に戻すと“眩暈は強くなる”の繰り返しで、この世の終わりかと思うほどでした。
当初は助産師としてのスキルアップを目的にセミナー参加の準備をしていましたが、医師からストレートネックもあるね…と言われていたことが気になり、眩暈の原因が「もしかしたら骨格にも問題があるのかも…?」と思い、自分のためにも総合ベーシックセミナーの受講を始めました。
すると、1日目のセミナー中に渡部信子先生から私の骨格のおかしさを看破され、セミナー後に施術してもらうことにしました。
すると、ストレートネックよりひどい“逆彎ネック”プラス、体のねじれを指摘されたのです。
渡部先生から「毎月1回施術を受け、体操を続けて、骨格の改善に努めるように」とアドバイスを受けたところ、セミナー同期のメンバーも私と同様に始めました。
毎月セミナーの度に「あんなに真っ直ぐだったのに…、首に彎曲ができてきた!」と歓声が上がるようになり、同時に、他のメンバーの骨格にも同様の変化が起こってきました。
お互いにその変化を感じあえることが、嬉しかったです。
【劇的な回復】
そうして5か月後、セカンドオピニオン先でやっと診断名が付き、治療薬を使えるようになると、劇的な回復を遂げました。
初診から5か月、この5か月間は人生で最も自分の体と向き合ったときでもありました。
それまでは“しんどい。休みたいよ~”と体からサインが出ていても“大丈夫! まだ頑張らないとダメ!”と精神論で、自分で自分に鞭を打ち続けていたことを深く反省しました。
眩暈は“体の声を理解すること”の大切さを教えてくれたのです。
セミナー受講中、私の体の緊張から手の圧が強くなってしまい、「体の力を抜くって…、なんて大変なことなんだ!」と、毎回冷や汗でした。
でも、先輩方に触れてもらい、緊張のない柔らかい手の気持ち良さを実感し、自分の緊張を取り除く練習を続けました。
同時に、体幹を鍛え続ける生活を半年間続けたことにより、少しだけ緊張感をほどけるようになってきました。
【総合ベーシックセミナー修了後のお産】
セミナー受講中に「健康を取り戻すために大学病院のハードワークから一度離れようか…」と悩み続け退職し、2つの施設で短期間働いた後、今の職場に就職しました。
総合ベーシックセミナー修了後のお産は、今まで以上に面白く感じています。
レオポルド胎児触診法一つとっても、胎児のねじれや産婦の体の特徴から、「子宮口が全開しても、きっと進みが悪くなるな。どうやって骨盤輪支持をするのがいいかな?」とアセスメントし、プランを立て、実施する力が上がりました。
それが上手くいったとき、少しでも産婦さんの力になれたと実感でき、とても嬉しいです。
“希望無痛”の産婦さんに対しては「陣痛に頼ることができないし、動いてもらうことも難しいな。医療的介入も必要だけれど‥‥、温罨法以外にも循環を良くするように介入してみよう」と考え、行動に移せるようになってきました。
「反り腰で尖腹だから、骨盤誘導線を作るために怒責はフラットで上方向にかけよう」などなど、イメージ力も付き、先輩の助言をもらいながらも自分の手で提供できるケアの幅が増えていることを実感しています。
何よりも嬉しかったことは、バースレビュー中に産婦さんから“助産師さんの手が触れると、体が温まり気持ちよかったです”という言葉です。
産痛緩和のケアとは別で「触れた手が気持ちよかった」と言われたのは初めてで、「まだまだ未熟で触り方がキツイ」と思いこんでいたので、私の心まで温まってしまいました。
お産は急変も多く、常にリスクを考えて動かないといけませんが、緊張感が伝わるのではなく、安心感と温かさが伝わるケアを行えるように努力し続けたいと思います。
【最後に】
私は持病が完治したわけではありませんが、内服と体操で元気にお仕事をすることができて、とても幸せです。
渡部先生の言葉をお借りして「“動ける体 学べる体 働ける体”を保持すること」、その上で、様々なことに柔軟に対応できるように、色々な考え方を吸収し可能な限り広い視野を意識して、おばあちゃんになるまで助産師を続けることが私の目標です。
このコラムを通して、私の経験が誰かの参考になれば、幸いです。