宮崎県の歯科衛生士 森山 亜紀 さんのコラム
私のせいで娘が…
【はじめに】
皆さま初めまして。九州・宮崎市の歯科衛生士 森山亜紀と申します。
職場は“かまた歯科・かまたキッズデンタルパーク”で、12歳~高齢者を対象とする“歯科”と、0~12歳までの子どもを対象とする“キッズデンタルパーク”の2つに分かれています。
“キッズデンタルパーク”は、0歳から予防のために通う口腔育成型の小児予防歯科クリニックで、10年目を迎えました。
「0歳の赤ちゃんが歯医者さんに?!」とびっくりされる方もいらっしゃることでしょうね。そうなんです。早い子は生後4ヶ月頃、歯が萌える前から通われるくらい、熱心な保護者がたくさんいらっしゃいます。
コンセプトは“遊ぶ”“学ぶ”“自立する”。遊びながら学べて、行きたくなる歯医者さんを目指しています。
「健康でいるために何をすればいいのか?」について“知る”それを“やる”そして“続ける”。
簡単そうに思えますが、これがなかなか難しく、私達は“生活習慣”そのものを改善するためのサポートをしています。
【院長との出会い】
私自身「天命を全うするそのときまで自分の歯で食べ、自分の足で歩く」を目標にしています。
「娘達も生涯自分の歯で食べて欲しい」と願い、絶対にむし歯を作らない!と奮闘し、むし歯を作ることなく、成人させることができました。
一方職場では…、むし歯や歯周病で歯を失う患者さんを目の当たりにする日々。
できることなら生涯自分の歯で食べて欲しい、どんなに高価な補綴物でも、自分の歯に勝るものはないのに…。
患者さんに訴えても、何十年もの生活習慣が簡単に変わることは稀で、歯を失い始めてから歯の大切さに気付かれるのです。
「あのとき、言うことを聞いておけばよかった」と、後悔の言葉を聞く度、私の想い「歯を失う前に気づいて欲しい」と現実「歯を失ってから気付く」の差に悩んでいました。
そんなとき、一人のママから、「毎日仕上げ磨きをしているのに、治療しても、治療しても、すぐむし歯ができる。どうしたらいい?」と相談を受けたのです。
その当時の私は、ブラッシングやフロッシングとしか答えられず、なぜむし歯ができるのか、原因が分からず、歯磨きだけで防げると思い込んでいました。
そう、早期発見・早期治療で満足していたのです。むし歯が大きくなる前に処置できて良かった!と思い込んでいたのです。
そんなとき、かまたキッズデンタルパーク立ち上げのミーティングに参加した私は、院長の言葉を聞いて衝撃を受けたのです。
・宮崎の子ども達のう蝕(むし歯)有病者率の高さ
3歳…ワースト6位 12歳…ワースト3位
・むし歯は予防できる
・カリエスフリー(むし歯なし)の子ども達を1人でも多く育てたい! という院長の熱い想い。
「歯科衛生士の子どもだからむし歯ができない」のではなく、「誰でもむし歯のないお口を作ることができる」「むし歯で苦しむ子どもを減らしたい!」
「子どもの頃から予防ができていれば、大人になって苦労することはない! 宮崎の子どものために!」と私は、院長と共にかまたキッズデンタルパークで頑張ることを決意したのです。
その後、むし歯予防に関して、感染や生活習慣の改善など、予防方法はわかってきました。
ところが、その一方、歯並びは…?「なんでこんなに歯並びが悪いのだろう? 何が原因なのだろう?」と、原因を知りたくなりセミナーに行きました。
そこで、「“ポカ~ンお口”一つとっても、授乳も離乳食も抱っこも関係している」と聞き、さらには、「抱っこによる影響の一つに側弯症がある」と聞き、ショック_| ̄|○
【私のせいで…】
実は、私の娘(長女)は脊柱側弯症なのです。
「側弯症になったのは(母親である)あなたのせいだよ」。この言葉は、生涯忘れることのない言葉となりました。
私のせいで…。私の抱っこが原因で、側弯症にさせてしまった…。ごめん。ごめんね。可愛くて、可愛くて、泣かせたくなくてずっと抱っこしていた私、肋骨が疲労骨折するくらい抱っこしていた私。
それが原因と言われ、本当にショックで、ショックで、このまま消えてなくなりたいと思ったほどでした。
しかし、どんなに泣いて謝っても、私が消えていなくなったところで、娘の側弯がきれいになることはありません。
「こんなに抱っこが影響するなんて!!! どうして誰も教えてくれなかったの!!」と、しばらくは本気で周りも恨みましたが、今更泣き言を言っても仕方がありません。
これから先、私ができることは
・私と同じ苦しい思いをお母さん達に味あわせないこと。
・お母さん達に生涯後悔の念を抱かせないこと。
知識を持つことの大切さを、我が身を持って体感したことが、私を責めると同時に、抱っこについて真剣に調べさせたのです。
【渡部先生との出会い】
「乳幼児期に起きている気になる症状を予防するには、授乳や離乳食や、抱っこの仕方から、かかわらないといけないのではないだろうか?」「では、どのように…」とネット検索を始めました。
すると、YouTubeでトコちゃんベルト専門店の「抱っこが上手になるママの体作り」を拝見し、初めて“肘のねじれ”について知ったのです。
それまで「抱っこは経験してナンボのもの」だと思っていて、「赤ちゃんにとって快適な抱っことは?」とまでは、考えたことはなかったのです。
実際に自分の捻れを確認すると、見事に上向き(@@)
「では、どう抱っこしたら、赤ちゃんにとって快適な抱っこになるのだろうか?」と、見様見真似で抱っこしてみても、赤ちゃんは反ってしまい、全然気持ち良さそうには見えない。どうしたらいいの?考えれば考えるほど、自分のすること全てが疑問だらけ。
ならば「きちんと基本からを学ぼう。いったい誰から学べば良いのか?」とネット検索。すると、たくさんの情報があふれている中で「これだ!!!」と感じたのは、ブログ「魔女のひとりごと」でした。
産後の赤ちゃんだけでなく、胎児も診ていらっしゃる渡部信子先生が「骨盤の形状と胎内不良姿勢」について書かれている記事を読んで、胎内姿勢なんて考えたこともなかった私は、衝撃を受けたのです。
と同時に「お腹の中でスクスクと育っていれば、生まれてからもスクスクと育つのでは?」「では、どうしたらお腹の中でスクスクと育てられるんだろう?」と、メンテ“力”upセミナーを受講しました。
パワーポイントを見ながら、渡部先生のお話を聞いていると、“押し出し分娩、吸引分娩、出血多量…”と、いろいろ経験したことを思い出しました。
また、尾骨が“過強弯”であることを知り、「赤ちゃんが通りにくい産道をしていたんだろうな、だから吸引分娩になったのかな?」「お腹の中では快適だったのかな…?」
考えてみれば、2人目は蹴る・押すがあまり感じなかったし、坐骨神経痛と言われ、湿布をよく貼っていた! もしかして、腹直筋離開もしていた?!
骨盤ケアなんてしてないし、考えてみれば悪いことだらけ。それでも、それらの原因が何なのかも説明されず、「今起きていることが、生まれた子の将来にどの様な影響を及ぼすのか?」についても何も言われず、私も知らずに過ごしていたのです。
渡部先生の施術を私が受けたときに「この方なら、側湾症の娘を任せられる。診ていただきたい!」と思い、2020年4月に施術予約をとりました。
「娘の体を診ていただきたい!」と思った方と出会えたのは初めてのことでした。親として今の私にできることは何もなく、見守るだけなのですが、体の変化がどの様に起きるのか、これからがとても楽しみです。
【今後の課題】
医院理念である「人々が生涯にわたり健全な口腔の機能を維持し全うすること」のためには、何をすればいいのだろうか? どうしたら子ども達が「健康にスクスクと育つ」のだろうか?
むし歯予防のお話をしている私は、患者さんや娘から学んできた、「お母さんの姿勢がお子さんの体に影響を及ぼす」ことも、話せると思っています。
でも、足りないのは「それ以前に起きていることは何か?」なのです。生まれてから何かを始めるだけでなく、妊娠する前からの体作りの大切さを伝えていきたいのです。
助産師さんやお母さん達をはじめ、多くの人達と協力し合って、“健康にスクスク育ち合える場”を提供したい。
生涯を通して楽に生き、健康に過ごせる体作りのために、親子でのトレーニングや操体法、子育て教室を取り入れられたらいいな~と、夢見ています。
これから渡部先生をはじめ、諸先輩方にご教授いただきながら、娘ともども学び、1人でも多くの人達の健康な体作りに貢献していきたいと思っています。