沖縄県の勤務助産師 冨坂 幸恵 さんのコラム
沖縄に移った後、自分の出産で知った骨盤ケア
【はじめに】
皆さん、はじめまして。沖縄県那覇市に在住の冨坂幸恵(とみさかゆきえ)と申します。
5年間看護師として働いた後に助産師の資格を取り、助産師になって21年目になります。
現在は糸満市にあるクリニックで勤務助産師として働いています。
親の転勤が多かったのもあり、生まれは長崎県なのですが、そこから福島県・富山県・愛媛県・茨城県・広島県・千葉県・兵庫県・京都府と移り住み、1か所に5年以上住んだことがありませんでした。
そんな私が沖縄に移り住み、すでに19年目!まさかこんなに長く沖縄にいることになるなんて、夢にも思いませんでした。
【骨盤ケア・トコちゃんベルトとの出会い】
京都で助産師として働き始めたときに、私の働いていた病院に渡部信子先生が、定期的に妊婦さんの骨盤ケアをしに来ていて、そのときにトコちゃんベルトと出会いました。
病院スタッフ対象のセミナーもあったのですが、もったいないことに、そのときは私だけでなく、ほとんどのスタッフは「腰痛がある妊婦さんに使うベルト」と認識していた程度で、「私達には関係ないわ~」と、距離を置いていました。
骨盤ケアとトコちゃんベルトに実際にかかわるようにならざるを得なくなったのは、沖縄に移った後、自分の出産がきっかけでした。
1人目のときは、妊娠中も産後も、骨盤ケアをしていませんでした。出産のときは腰が割れそうに痛く、産後は腰砕けのようになり、なんとか歩けはするものの、退院後も壁を伝ってなんとか歩けるくらいで、体がとてもしんどかったのを覚えています。
産後しばらくして、もらったトコちゃんベルトを、着けてはみたものの楽にはならず、ちょっと着けただけでやめてしまいました。
2人目の妊娠中に、(旧)母子整体研究会のセミナーに参加したことのある友人助産師が、トコちゃんベルトの着用の仕方と操体法を教えてくれました。
そうすると、あら不思議(@@)。1人目のときとは全然違って、妊娠中も楽しく過ごせ、出産も楽、産後も腰は痛まず、スムーズに歩け、快適な母乳育児ができたのです。
1人目の子を出産して抱っこした瞬間、「うわっ、この子、体が固い!」と驚いたのですが、2人目はふんわり柔らかい赤ちゃんでした。
1人目のときは乳腺のつまりや乳口炎を繰り返していたのですが、2人目のときは乳房トラブルもほとんどありませんでした。
こんなに2人目の全てが楽なのは、友人のお陰と感謝しています。
その後、2人目の産後10か月のときに(旧)母子整体研究会のセミナーに子連れて参加しました。
でも、子連れでの参加となるのでずいぶん躊躇したのですが、職場の上司に強く後押しされて、しぶしぶ参加した感じでした。
ところが参加してびっくり。その内容が今まで聞いたことのない話ばかりで、目から鱗が落ちるように聞き入ってしまい、京都にいたときに勉強しなかったことが悔やまれました。
「この知識をみんなに知ってもらいたい」「腰痛や不快症状のある妊婦さんに、正しくトコちゃんベルトを使ってもらいたい」そう思い、育休あけから私が働くクリニックで骨盤ケアとトコちゃんベルトの着用指導を開始しました。
本当にあのとき、セミナー参加を後押ししてくれた上司に感謝。自分の助産師人生は、あのときから変わったと思っています。
【現在の仕事内容について】
現在は助産師業務全般をしながら、3つのクラスを担当しています。
「トコちゃんクラス」「体ほぐし教室」「産後のママ&ベビークラス」です。
始めた頃はトコちゃんベルトの装着指導のための「トコちゃんクラス」だけで、そのクラスの中で操体法や体操も教えていました。
ですが、それではとうてい時間が足りず、「体ほぐし教室」でゴムチューブを使った体操や操体法を行うようにしました。
それからだいぶたって、産後のお母さんに向けて「産後のママ&ベビークラス」を開始しました。
このクラスは、退院してから2か月までのお母さんと赤ちゃん対象としているのですが、産後2~3週間の方も来られます。
目標は「産後のお母さん達がおしゃべりしながら息抜きできる場作り」としているのですが、そこに赤ちゃん体操や“まるまる抱っこ”も取り入れています。
赤ちゃん体操をした後、みんなで“まるまる抱っこ”で教室の中を歩いて行進します。
参加して間もないお母さんは、緊張して不安げな様子で歩き始めるのですが、小さいホールを5~6周歩くと、赤ちゃん達は静かになり、寝始めます。そこからそーっと寝かせて、おしゃべりが始まるのです。
もちろん全員が寝入らない場合もありますが、たいてい一旦は静かになり、お母さん達も「うわー、寝るんだー」と笑顔に変わっていくのです。
【今後の課題】
職場の上司も同僚も骨盤ケアに理解があり、とてもいい環境の中でやりたいクラスをさせてもらって、とても幸せです。
と言い切りたいのですが、妊婦さん達の体や分娩、産後の体や母乳育児の様子を看ると、色々しんどかったり上手くいかなかったり…、が増えています。
それは体だけでなく、お母さん達を取り巻く家族や環境も影響していることは否めません。でも、私にできることは…? それは、「もっとお母さん達が楽な体で、笑顔で出産や育児ができるように、かかわっていくこと!」だと分かっているのです。
でも、その一方では「できない」と落ち込むこともしばしば。
私はまだ基本整体もベーシックセミナーも受講したことがありません。
それなのにこんなコラムを書くなんておこがましいのですが、「やはり自分の知識や技術が足りない…」と痛感することが度々なので、思い切って受講に行かなければと思っています。
もしもいつか、お会いすることがあったときには、ぜひ声をかけてくださいね!