【骨盤ケアとの出会い】
今から10年余り前、某市立病院の外来勤務をしていた頃のこと。健診に来る妊婦さん達の半数以上が、お腹の張りや、腰痛などのマイナートラブルなどを訴えていました。
「妊娠中なら仕方ないよね」と言いたいところなのに、某雑誌に毎月載っていた広告「骨盤ケアで妊娠中のトラブルをケアできます」が、頭の隅っこにチラチラ。
私のトコちゃんベルトと骨盤ケアとの出会いは、そんな感じでした。
【骨盤ケアを学ぶ】
その頃の私は自己研鑽のために続けていた通信制大学を卒業したばかり。休学2年を含む計10年間、期限ギリギリいっぱい使っての卒業でした。
「時間ができた! さて、次は何をしようかな?」と考えていたときに、「受けてみようかな」という気になったのが、前から気になっていた(旧)母子整体研究会の骨盤ケア入門・基礎セミナーでした。
ところが、セミナーを受けてみると、私の脳みそではついて行けず、「市立病院ではトコちゃんベルトも販売できないし、整体施術なんて無理!」と言い訳をして、背を向けることにしました。
【ケアを生かす】
とはいえ、せっかく学んだことです。ちょっとは生かさないと悔しい。そこで、トコちゃんベルトを自費購入し、外来で妊婦さん達に個人的に貸し出してみました。
すると、試した方のほぼ全員が購入するではありませんか! トコちゃんベルト、ハンパないじゃない(@@)/
エコーやモニターで診察した後、ベッドから立てない妊婦さんに、操体法と腰椎~骨盤を大まかに調整する技(ゼネラル調整)を試してみると、皆さんの口から「うそっ! 腰…、痛くないじゃない?!」と。うれしい\(^o^)/ 骨盤ケアって、効くじゃな~い(o^-‘)b
その後、病棟勤務になると、分娩係が楽しくて仕方なくなりました。胎児の位置や産婦さんの体を診ながら、肩回しとゼネラル調整だけしかできない私でしたが、「お産を進める女」と、一目置かれるようになってしまったではありませんか(^^)v
【骨盤ケア外来】
産後の腰痛・恥骨部痛や、ひどい乳腺炎なども、ケアできるようになったそんなある日、市立病院の産婦人科が医師不足のため閉鎖することになったのです。
助産師の離職防止策として、病院側から助産師外来開設の提案があり、それを知った私は、「骨盤ケア外来をやるなら、今しかない!」と一念発起。再度、骨盤ケアセミナーを受講し、修了証書取得を目指すこととしました。
途中、自信喪失したり、泣きも入ったりしながらも、なんとか修了。晴れて骨盤ケア外来をスタートさせることができたときには、市立病院の産婦人科は閉鎖となり、同時に退職しました。
パート職員として骨盤ケアを週1回担当させてもらえることになり、「さぁ、腕の見せ所!」と、やる気満々でスタートしたとたん、次々と大変な体の妊婦さん達が、来るわ来るわ…。
「基礎セミナーの技術だけでは限界」と打ちひしがれてしまったのです。ならば…と、トコ・カイロプラクティック学院のオステオパシー・ベーシック・カイロセミナーへと突き進んで行きました。
この頃、渡部信子師匠に「あんた、市立病院辞めて暇あるやろ? 毎月1回でいいから手伝ってよ」と声をかけられ、何もできない私が人不足だった高輪サロン@品川駅前の受付や、施術の補助(トコちゃんベルト・おひなまき・スリング・体操などの指導)の仕事に当たることになりました。
たかが受付、されど受付、「門前の小僧、習わぬ・・・」とか何とか、よく言ったもの! 師匠の施術を間近に見ることは、自らの技を向上させる絶好の機会となり、師匠の技を少しずつ憑依させる機会ともなりました。
こうして私は、”整体施術”という底なし沼に、ズブズブと首までハマって行ったのです。
【技術の習得】
セミナーでの学びは基本だが、施術はやはり実践あってナンボ。私の練習台は夫と二人の息子です。
毎回セミナーから帰った私に、「ちょっと寝て!」と言われて、施術というよりプロレス技(?!)を、次々とかけられるあわれな家族。夫と長男はじっと我慢してくれましたが、次男には「痛いんだよ、もう~、バカ! お母さん嫌い!」と言われ、母子関係にヒビが入りかけたことも!
【開業】
市立病院を退職後、骨盤ケア外来をパートで週1回担当する以外に、個人医院での当直と日勤をそれぞれ週1回、市の療育のナースも週1回、という働き方にシフトしました。
ところが、そうこうするうちに骨盤ケア施術の予約が増え、出張を主とした「骨盤 & 母乳ケア ママ&ベビースペース ぼこ」を開業することとなりました。
広告ビラ1枚作ることなく、ママ友の口コミ、お産を介助したママ、パート先で出会った体の辛いママ達とそのご家族・・・と、つながりだけで仕事があり、退職して5年後には合計年収は市立病院勤務時代を上回るようになりました。
それだけでなく、時間的にも身体的にも余裕が生まれ、家での私の大事な役割(=我が家のラグビー男子3人の体のメンテナンスと食事作り)を、ゆったりと果たせるようになりました。
「意外!」と驚かれることが多いのですが、私の趣味はお菓子作り。精神的にも余裕が生まれ、息子達の好物のお菓子を作っていると、大きくなった息子達も幼子のよう。お陰様でヒビが入りかけた次男との母子関係も、良好を保てています。
ホームページを開くことすらせず10年以上、開業助産師として働いて来たのですが、ついに昨年末、開設しました。
半年ほど前に師匠から「後藤さん、1ページだけでもええからホームページ作って! そうでないと、紹介もできなくて困る!」とお尻をたたかれ、事務長(夫)に頼み込んで作ってもらいました。お暇な方、ぜひ、のぞいてみてください。 ⇒
https://peraichi.com/landing_pages/view/boco
「今どき信じられない」と呆れられるのですが、それでもやって来られたんです。整体技術を身に着け、開業したことから生まれた“つながりと余裕”。何とも有難いことです。感謝、感謝m(_ _)m
【お産の場で】
個人医院は計画・無痛分娩が多く、当直に行くと「待ってました! 産ませてあげてね!」と、日勤助産師に言われることがしばしば。一緒に当直するナースからは、私の当直開始から3時間が「お産で忙しすぎる(:へ;」とクレームも(^0^)
ママの腹直筋が離開してしまって、骨盤に進入できないベビーや、第1回旋しないまま入ってしまって回旋異常、微弱陣痛などで分娩停止…などのお産が多過ぎ!
骨盤ケアをやり始めたときは「ゼネラル調整様々」だったが、ここ5年は「ネックはネック」と実感。妊婦さんはもちろん、今の子ども達も将来安産できるように、骨格・筋力・体力・根性不足を、いかに上げて行くかが課題だと思います。
何歳から取り組めばいいかって? そりゃ~、「今でしょ!」。全ての子ども達、若者達が、今すぐに、今の年齢から取り組まないと間に合わないくらい、事態は深刻です。
【クラスの開催】
3年前から“骨盤ケアクラス”と、“だっこのクラス”を開催しています。きっかけは2人目のお産に来られたAさん。
分娩前なのに肛門は産後の強烈な痔のようで締まりゼロ、「いい陣痛、来てますよ」と言ってもリアクションはなし。「お尻が痛くて辛い。産後はもっと辛いと思うと…、お産が嫌だ」と言うAさんでした。
でも、分娩中の骨盤ケアで安産でき、産後は骨盤高位で内臓を正位置に戻し、トコちゃんベルトを取り寄せ、到着後すぐに装着した産後3日。「妊娠中にこのベルトを勧めて欲しかった。1人目のときはお尻が痛くて座れず、授乳もできず、赤ちゃんが可愛いと思えなかった。だけど、今回は赤ちゃんがすごく可愛い!」と話す彼女の姿が、私の脳裏に焼き付いてしまったのです。
お母さんの身体が元気でないと育児も難しくなってしまいます。「クラスが骨盤ケアや“まるまる育児”を知るきっかけになれば…」と思いながら、続けています。
【年末のお楽しみ】
私の実験台となった我が家の男子達は、ここ数年、年末帰省先の奈良で信子先生に施術をしてもらい、スッキリした体で新しい年を迎えています。
次男は毎年「お母さんもだいぶ上手くなったと思っていたけど、やっぱり、信子先生は違うわ~」。「信子先生はスナイパーやな。気持ちよくフワフワしているうちに、気付いたら終わっている。お母さんのはまだ迫ってくるのがわかる」と、師匠と私の施術の違いを的確に指摘してくれるのです。
私のスキルアップにつながるので有難い反面、ダメだしされると年の瀬に若干気分が落ちこんでしまう私(:へ;
しかし、年が明ければ「1人でも多くの方が動きやすい体で、活き活きした毎日を過ごせるよう、今年もやるぞ~、スナイパー目指して頑張るぞ~!」と、前向きになれるから不思議なもの。
元気な体に育つ子育て方法を広め、元気な子がスクスクと成長するために私は働き続けます。