にゃんこ先生のコラム「分娩・産褥アシストケアの実際」
 
皆様、こんにちは。
呉照美@分娩~産褥アシストケアの講師です。

2月12日に第一回目のセミナーを、大阪で開催することができました。予想以上のたくさんの方々に受講していただき、とてもうれしく思いました。10時~16時の短い時間で、骨盤ケア・アロマケア・リンパドレナージのテイクケアをお伝えしましたので、物足らなかったかもしれませんね。よろしければ、ぜひ何度でも来てください。

私のセミナーでは、「超応用手技」をお伝えしています。「超応用手技」は、臨床で、しかも短時間で即実践できるように私がアレンジした複合手技です。看護職の人達が実践しても、ご家族が実践しても、それなりに結果が見込める手技が「超応用手技」です。

<分娩台で骨産道を整える手技>

この手技は妊婦さんにも、産後ママにも、癌患者の皆さんにも使っていただける手技です。老若男女に応用ができますので、ぜひお試しください。ソフトで受ける側の負担がなくて、心地よい手技だと思います。
「超応用手技」にご興味を持ってくださった看護職の方は、基礎に立ち返って、もう一度解剖生理をお勉強して根拠の裏付けをしてくださいね。

さて、セミナー後のアンケートで「微弱陣痛のケアをもっと知りたい」って意見が多かったのですが、なぜに微弱になってしまうのか、なってしまったのか、プロならば、そこを考えましょう。原因がわかれば対処ができます。わからなくても原因を予想することで、回避できるかもしれません。私の経験上、微弱になる方は腹筋が弱いことが多いように思います。腹筋の力が弱いと、陣痛の圧がうまく子宮口に効かずに児頭の下降もイマイチ。子宮口の開大の緩やかってことが多いように思います。そんなときこそ、術後腹帯での腹筋サポートとゴムチューブでの骨盤輪サポートが有効なことがあります。ぜひ試してみてください。

さてさて、このコラムでは私が臨床で実践したエピソードを書いていこうと思います。皆様のご参考になれば幸いです。

<アロマケアで、帝王切開後のママが熟睡できた症例>

私が分娩待機をしいているAクリニックで看護師さんがベースン(金属性の洗面器)をもってウロウロしていましたので、どうしましたか? とお聞きしたところ、「帝王切開後1日のママに、アロマの芳香浴をしたい」とのこと。
このママの赤ちゃんは呼吸状態が悪くて、日赤に搬送されて母子分離となってしまいました。1ヶ月前にママがインフルエンザにかかり、現在も咳が続いています。

そこで、私がお勧めしたアロマ精油は、ユーカリグロブルスとローズウッド。ベースンにお湯をはって、精油を3滴ずつたらしての芳香浴をお勧めしました。翌朝に様子を伺いましたら、咳も気にならずにぐっすりと眠れたそうです。ユーカリグロブルスは芳香成分の酸化物を多く含むので、去痰作用が期待できます。ローズウッドは芳香分子のd-リナロールを多く含むので疲労回復作用が期待できます。
精油の良い香りのおかげで、良く眠れたかも?しれない症例です。

<アシストケアで、第1子のお産の方が楽だった症例>

私が分娩待機をしいているBクリニックで、2回お産をしたママさんからお聞きした話です。
第1子の出産は私が立ち会い、妊娠中の骨盤ケアも私が担当しました。第2子のときは、骨盤ケアはできるけれどアシストケアはまだ習得していない助産師がお産に立ち会いました。妊娠中の骨盤ケアはもちろん受けています。

このママさん、「第1子の方がお産が楽だった」とおっしゃったのです。「陣痛の痛みはどちらも変わりがなかったけれど、第1子の陣痛は1回1回が強かった。けれど第2子の陣痛は強弱があって、間延びをした感じで痛い時間が長く感じた。会陰の痛みも第1子のときの方がよく伸びた気がして痛くなかった、第2子のときはピーンと張った痛みがあった」とのことでした。

それから、このママさん、第2子の妊娠でずいぶんと腹筋も骨盤もゆるくなってしまっていて腹帯とベルトが必須の方だったんです。陣痛開始で入院になった時に腹帯を外されてしまって、それで腹圧が有効に効かず、陣痛が強弱になったのかなと思う症例です。第一子は私がお産に立ち会いましたので、陣痛中からアシストケアをして骨産道や胎勢の軸を整え、会陰の伸展をサポートするリンパドレナージもしたので、このケアが有効でお産が楽だったって言っていただけたのかなと。
大事ですね、腹筋と骨盤の壁。壁が弱いと圧が有効に効かない気がします。

どうでしょう、ご参考になりましたか?
これからもいろいろなエピソードをご報告したいと思います。
ご期待くださいませ。