愛知県の助産師 名倉美紀さんのコラム
まるまる育児の実践~発達の違いを目の当たりにして~

 
【はじめに】
皆さん初めまして。愛知県碧南市(へきなんし)在住の助産師、名倉美紀と申します。5歳長女、3歳次女、0歳長男、3児の育児中です。

幼少期はわりと丈夫で、スポーツも勉強も好きな、どこにでもいるような子どもでした。書道・ピアノ・珠算・新体操・吹奏楽・バレーボール・バドミントン…、習い事やクラブ活動も好きでした。
大学から妊娠まではスキューバダイビングに夢中でした。中性浮力=ほぼ無重力の世界が、羊水の中と似ています。動くのは目線が大切。面白い巡り合わせです。

【骨盤ケア・まるまる育児との出会い】
第1子妊娠時は、骨盤ケアを全く知りませんでした。特にトラブルもなく妊娠39週、6時間ほどで出産しました。
振り返ってエコー画像を見ると、ぷかぷか浮かんでいる長女。多少子宮の形はゆがんでいますがまだ余裕のある子宮でした。
当時は、体力には自信があったので「骨盤ケアなんて必要なし」と思っていました。

ところが、産後は状況が一変。尿漏れ・乳腺炎・肩こり・骨盤のグラグラ感…トラブルのオンパレードとなったのに、なぜなのか考える余裕もなく精一杯の毎日が続きました。
さらに産後は運転が下手になり、今でも思うように駐車ができません。出産までは運転は得意だったのにショック_| ̄|○
出産で今まで獲得した体の代償がなくなり、思うように体が動かないことの連続です。

第2子は妊娠してすぐから、尿漏れと骨盤のグラグラ感が出現しました。エコーの写真も細ナス型ばかり。狭い子宮に窮屈そうに入っていました。
骨盤ベルトをぎゅーっと着けてみましたが、苦しく不快。「正しい装着方法を学ぼう!」と思ったのと時を同じくして、勤務先の女医さんに「まるまる育児って知ってる?」と尋ねられたのです。

それらが重なり、2015年、運命に引き寄せられるように骨盤ケアの世界に足を踏み入れました。渡部先生の話は理論的で面白く納得の連続。興奮しながら聞き入りました。
この興奮を他の人にも伝えたいのに、上手く説明できない。知識が足りない。なぜこの操体法を実施するのか分からない。もっと知りたい…。気づけば、前のめりで学んでいました。交感整体で「臍を中心に」で知識がまとまった感覚は爽快でした。

と同時に、「助産師としての私はこんなことも知らずに、仕事にしていたのか」と、今まで関わった患者さんに申し訳なく、恥ずかしく思いました。
動けば産まれると思っていたのに、動くことができない人がいること。動いても産めない体があるということが驚きでした。そして私もその一人。
骨盤ケアのおかげで尿漏れもなくなり、張りもなく快適な妊娠生活を送り、妊娠40週で家族に見守られ安産。まるまる育児を始めました。

第3子を望んだときから骨盤ケアに励みました。不快な症状が出る度に、なぜ? どこが問題? どうしたら解決できる? と自分と向き合い続けました。
上手くいかないときはセミナーでお会いする先輩方に、アドバイスを頂きながら体のケアができたことは、とても学びになりました。

【勤務先でのケア】
勤務先では、まだ骨盤ケアを十分に導入できていません。困っている方や友人・同僚に対し、時間のあるときに個別に細々とケアをしています。
妊娠期の腰痛の軽減、子宮の形・骨盤位の改善、分娩期の胎位改善、産褥期の乳房トラブルの改善、新生児へのケア。効果を実感するとともに、うまくいかないことも度々。

セミナーでお会いする先輩方になにかと相談し、アドバイスを頂き再度実践。まだまだこのような段階です。

【まるまる育児を実践して】
第1子はまるまる育児を知らずに育てました。私はかなりの絶壁頭です。頭の形がコンプレックスだったので、長女は頭の形に気をつけようと側臥位や腹臥位で寝かせるようにしていました。
抱き方は雑でした。軸が曲がり、片手は外に飛び出し…、抱っこひもで散歩に出掛け、「外は気持ちいいね~」と声を掛け。当時の写真を見ると、抱っこひもの中には笑顔の長女はいません。自分のラクさしか考えていませんでした。
背中がピーンと伸び、眉間にしわが寄り不快そうな長女。「全然気持ちよくなかったね」と、申し訳なく思います。

第2子はまるまる育児を実践しました。写真を見ると、おひなまきに包まれ穏やかな表情の次女がいます。
家族からは日々「苦しそう」「かわいそう」と言われ、否定的な反応にはかなり傷ついたものの、長女との時間を十分に取る余裕はあり、私自身の体が休まることにより、心も元気になるのを実感しました。

次女は1歳になり、歩き始めると、長女との差がくっきり。受け身を取る次女を家族が見て、「この子はすごいね、腹筋を使って頭を打たないようにしてる!」と、反応が変わりました。
現在5歳の長女、3歳の次女は同じように遊び、運動能力の差がほとんど見られません。

まるまる育児をしなかった長女も、時間のあるときに渡部先生のケアを受けていて、病気はほとんどしません。

2人とも手先は器用で、鉛筆は1歳2ヶ月頃から上手に持ち、はさみは2歳から持ち始め、3歳前から上手に使っています。どれも家族は誰も使い方など教えていないのに、気づいたらある日使えるようになっていました。言葉もコミュニケーションにも困ることはありません。

しかし、長女と次女の体の使い方や感覚は、明らかに違います。
長女は
・体型:全身、特に足底と臀部の筋肉が少ない。垂れ尻。
・感覚:よく物を踏み、指摘されるまで気づかない。
・おねしょをしても、漏れているのかどうか、気づかないまま朝まで起きない。
・朝は声を掛けなければ、いつまでも寝ている。
・動き:走るときに軸が左右にぶれる。
・ジャンプは妹と同じくらいの距離を飛ぶが、体のバネがなく、体を丸めることなく反らしたまま飛ぶ。
・鉄棒に丸くぶら下がれない。逆上がりができない。雲梯も進めない。
・前転は5歳になってからできるようになった。
・ボール投げは無意識にやれば50cm。
・水泳教室ではバタ足で前に進めない。
・段差のない所で転ぶ。

改善を目指して、毎日外で遊ばせたところ、1年かけて逆上がりも雲梯もできるようになった。

一方で、まるまる育児の次女は、
・体型:全体的に張りがある。足は分厚い。臀部は筋肉で盛り上がっている。
・感覚:2歳10ヶ月からおねしょはせず、オムツはずれは急に「今日からオムツいらない」と宣言し実行。たまに漏れてもすぐに知らせる。
・目を閉じて片足立ちも上手、前転も軽々とできる。
・目覚めが早く寝起きが良い。朝5~6時には起床し一人遊び。家族の誰かが起きるのを待っている。
・動き:走る速さは姉と同じで軸はぶれない。
・体のバネを使ってジャンプし、姉より遠くまで飛ぶ。
・鉄棒に丸くぶら下がる。
・ボール投げも遠くに飛ぶ、投げ方もキレイ。
・転んでも受け身を取る。

発達の後追いをするのは、親子共々とても根気のいる作業です。そして、アリの歩みのような速度でしか進みません。少しでも早い時期にまるまる育児を始め、丸くなれる体を作ってあげるだけで、動きやすい体の基礎ができるのに…と、とてももったいなく感じます。

第3子は、家族が率先してまるまる育児を実践してくれました。家族全員同じ方針で育児できることは心強いです。

母乳を飲ませる感覚も、第2子と第3子とでは違います。第2子.3子ともに、時々私の指を口に入れてみていました。
指だと2人は同じような力で吸っているのに、母乳だと第2子の場合は、口腔に力が入ってひきつる感じがします。これは、舌小帯の硬さのせいで舌がなめらかに動かない気がするのです。
第3子は引きつり感もなく哺乳し、口腔の使い方が最小限の力でできているのか、吸っているのを忘れてしまうくらいの感覚です。

最近離乳食を試していますが、食べ物を初めから自分の歯茎ですり潰して食べるのです。器用な次女も口腔の使い方は苦手。食べ物を丸のみしてしまいがちなのに、驚きです。

口腔機能を上手く使えるような体にするだけで、自分で消化できるように動ける。第3子にしてまた驚きです。
もちろん次女と同じく朝は6時までには起き活動を始めます。2人で家族を起こしてくれます。自律神経が整っているなと毎朝感心しています。

【今後の課題】
つい先日、次女が人形を抱えて、「赤ちゃんってこう抱っこするんだよね。父ちゃんいつもこうしてる」と、きれいなまるまる抱っこをしていました。親がしていることを真似できていることが、とてもうれしかったです。
「未来の子どもたちが思い通りに遊んで学べる体作りのため、まるまる育児・骨盤ケアを伝えていかなくては」「敷居は低く、奥深く」「胎内環境をより良くし、誰でも簡単に“まるまる育児”を始められるようにしたい」と思うばかりです。
これからも更なる自己研鑚に努めていこうと思います。