トコ企画代表、渡部信子のコラム
「定頸」について再認識。シンポジウムを大阪で開催、次は東京で(^o^)/

 
【台風接近の中決行】
 10/22(日)、朝から超大型の台風21号接近という悪天候でしたが、「シンポジウム-定頸とは?-」を開催しました。四国は朝から「JRが運休となり、行けません」との連絡が次々に入り、金沢からの講師の到着を心配するなか無事到着。ほっと胸をなでおろしての開会となりました。

 帰途はもっと大変で、加藤先生はギリギリセーフで伊丹空港から札幌に、森田さんも大阪駅から金沢に、私は新幹線で品川駅に無事到着。嵐さんは和歌山行きの電車は運休となり大阪市内で1泊したそうですが、自宅に被害はなかったとのこと、良かったです。
 
【基調講演】
 10時~は小児科医 加藤靜恵先生の基調講演。パワーポイントと身振り手振りのジェスチャー入りの講演だったので、とてもよくわかり、会場には「そうそう」とうなずく姿があふれました。
特に、ピョンピョンカエル跳びができない子の跳び方や、原始反射が制御されない子どもは200m走のコーナーでこんな姿勢になって減速するなど…、とてもよくわかりました。それと同時に加藤先生の、運動能力・摸倣力の成長(?)と、素晴らしさに感激しました。
 超盛りだくさんの内容でたくさんの文献などを提供していただき、定頸が未熟だと、姿勢だけでなく食べる・飲む・話すなどの口腔機能も発達しないなど、いろんな生活動作がやりにくくなることが話されました。
 さらに、「胎児期・新生児期にしっかりと体を丸められるケアの大切さ」についてお話しされ、妊娠期の骨盤ケアや、出生直後からのまるまる育児の大切さを再認識しました。

 ところで、定頸に関する統一見解は小児科学会にもないそうです。いろんな人がいろんな説を発表していて、中には「縦抱きにして頭がぐらつかなければ定頸」などという説もあるのだとか!?
 これって単に硬直して動けない状態ですよね。このような説を「定頸」と定義して、採用されては大変です。子どもたちの首を守ることはできません。
 
 昼食後は4人のシンポジストの報告でした。

【シンポジスト1.石川県の作業療法士 森田 綾 先生】 
 「前後左右の衝撃からだけでなく後ろへの衝撃が加わったときに、体を捻って戻す力がないことには首は守れない」との、定頸についての彼女の見解が解説されました。つまり、森田先生は保護伸展反応(受け身)の、回旋(捻り)もできる段階までを注目されているのです。
 考えてみれば当然のことなのに、私はこれを聞くまでは「捻る力」を「定頸完了」に全く入れていませんでしたので、目が覚める思いでした。
私は「受け身完了」の定義を「真後ろに倒されたときに、素早く体を捻って、5本指をパッと開いて、手の平でパンと音をたてて着地し、体を守れる状態」としています。
 ここまで受け身・着地を完璧にできなくても、体を捻って首を守れるようになってはじめて「定頸完了」と言えるのだと、今回のシンポジウム後に確信しました。

 トコ企画講師で作業療法士の竹内華子先生も、「首が据わったからといって、首を支えなくていいなんてことはない! 据わった後もお世話の仕方は同じ! 子どもがお母さんに抱きついて来るようになるまでは、抱き上げるときは首を支えて!」と講義されています。
ですから、トコ企画の赤ちゃんグループの講師諸姉も同様に講義しています。すると「定頸完了は1歳ころ」と考えるのが適切ではないでしょうか?
 
 アンケートには森田先生の報告に関する感想が最も多く「森田先生の話全般がとても面白かったです」「経験不足が発達障害と間違われてしまう…」「感覚統合…」など、いろいろ書かれていました。

【シンポジスト2. 京都の開業助産師平松 道子 先生】
 3人の子どもの母親・助産師として「骨盤ケア・まるまる育児でこんなに違う」というお話をしていただきました。第1.2子がすべり台を滑り下りる姿勢の違いに、目が釘付けになりました(@o@)
つい先日、私の施術に来られた1歳半のお子さん、滑り台から滑り降りたとたんに前に転び、受け身がとれず、アゴを打って下の乳歯1本が根本から折れたとのこと。何でそんなことになるのか分らなかったのですが、平松さんの第1子の滑り台での滑り姿勢を見て、やっとわかりました。
 出生直後から“おひなまき”で育った第2子は、胴体がしっかりしていて、きれいな滑り姿勢。これなら着地と同時に転ばず、たとえ前に転んだとしても受け身をしっかり取ります。なので顔を打つことはないのです。
 “おひなまき”“まるまるねんね”で定頸・受け身がしっかりした子を育てないと、顔や歯を守ることは難しいと改めて思いました。

 アンケートには「平松さん自身の経験をまとめられていて、お兄ちゃんを“おひなまき”にしている写真など、大変素晴らしい内容でした。自身の身体でお子さんに向き合い、仕事でも活かしている所が、とても尊敬できました」との感想があり、私も胸が熱くなりました。

【シンポジスト3. 和歌山県田辺市の嵐 美樹 先生】
 大阪の隣県なのにとても交通の便が悪い和歌山県の紀南地方。人口密度も低い地域で、元気な母子を育てるために、さまざまな活動をしていることを報告してもらいました。
 アンケートには「各地で活躍してい助産師の状況(今日の嵐助産師さんのように)はもっと知りたいです」という感想もあり、嵐さんを選んで良かったと思いました。

【シンポジスト4. 東京の産婦人科病院で働く保育士 高野 里江 先生】  
 日常の仕事の様子を紹介してもらいました。こんな保育士が産科で働いているといいな~と思える内容で、アンケートには「保育士が新生児室で!」とか、「助産師だけでなく他職種の方の話があってとても良かった」とか、「内容はわかりやすく、興味深かった」などいろいろありました。
 シンポジウム終了後、「うちの病院にも高野さんのような保育士を採用してほしい。理事長に言う!」との助産師の声が私に寄せられ、「やった!」と、ほくそ笑む私でした(*^_^*)

【リラクゼーションタイム】
 講師も受講者も、暴風雨で「帰れるかどうか?」を心配しながらの進行で、後ろ髪を引かれる様子で会場を後にする人の姿も見えましたが、22名が残って参加されました。
 体操用マイピーロを使ったケア法を実習し、最後は“おとなまき”未体験の作業療法士さんに体験してもらい、前屈が大幅改善し、とても喜んでいただけました。    

【東京で開催します!】
 関東からの参加者の中には「東京でもう1度聞きたい。1度だけより2度聞けば、もっと理解が深まる気がする」との声もあり、東京での開催を決めました。

日時:2018年 3月 11(日) 10時~16時
会場:北区滝野川会館

プログラムは大阪とおおむね同じです。

・10時開講、オリエンテーション・渡部信子挨拶
・10:15~11:45 基調講演 加藤 靜恵 先生
・11:45~12:00 質問受付 (メールでの質問受付も準備中)
・12:00~13:00 昼食と、書籍・体操用マイピーロなどの販売
・13:00~14:40 シンポジウム(報告と、討議・意見交換・質疑応答)

 1.石川県の作業療法士 森田 綾 先生(20分間)
 2.未定 母親の立場から(12分間)
 3.熊本県天草市の開業助産師 渡邉 由理 先生(12分間)    
   (「Amakusa Smile 子育て大作戦」を展開、天草での活動紹介)
 4.産婦人科の新生児室で働く保育士 高野 里江 先生(12分間)
 
14:40~14:50 休憩
14:50~16:00 リラクゼーションタイム 渡部信子

 大阪でのリラクゼーションタイムの様子などは、
魔女ブログでご覧いただけます。
 ⇒http://blog.ap.teacup.com/majyosanba/1844.html

参加費:
【午前】10:00~12:00   10,000円+税
【午後】13:00~16:00   10,000円+税
【終日】10:00~16:00   15,000円+税

※弁当・お茶を希望される方は、お申込みいただけます。

受付けはまだ準備中ですが、皆様、ぜひ日程確保を!医療資格を持っておられない方も参加可能です。難しい医療用語は全て、私が責任を持って“通訳”しますのでぜひお越しください!