【小学生の頃からアフリカで働く夢を抱き】
私は岐阜県岐阜市で生まれ、12歳まで岐阜市で過ごし、中学からは現在の居住地である各務原(かかみがはら)市に引越しました。
小学校の頃から「海外青年協力隊に応募して、農業指導員としてアフリカのケニアやタンザニアに行きたい」との夢を抱いていました。ところが、その時代は男女雇用機会均等法施行前で、募集要項を見ると募集は男性のみ。
女性が求められる職種の多くは教師または看護師でした。
【看護師・助産師に】
高校3年の秋、進路を看護師に決め、名古屋市にある聖霊病院附属看護専門学校に入学、卒業後1年間は外科病棟で看護師として勤務しました。
その後、平成元年に岐阜県立衛生専門学校助産学科に入学。助産師となり聖霊病院、岐阜県立岐阜病院(現在の岐阜県総合医療センター)に勤務し、平成8年の結婚に伴い千葉県我孫子市に転居しました。
千葉での最初の就職先はオーククリニックフォーミズ(現在はオーククリニックフォーミズ病院)で約4年半働き、700例以上のお産介助をさせていただきました。
ほとんどが正常分娩であったこともあり、そこで「お産とはこのようなものなのだ」という“お産の進み方と進まない状況”の感覚を得ることができました。
ここでの4年半、後年開業するにあたり、たいへん貴重な経験を積ませていただいたと感謝しています。
【助産院開業の夢を胸に秘め】
しかし「お産をする場所って…クリニックや病院だけ? それが全ての女性にとってふさわしい“空間”と言えるのだろうか?」と思い始め、違和感を感じ始めたのもその頃でした。そうなったきっかけは、ここでの勤務時代に参加した母性衛生学会で、偶然にも左古かず子先生(京都市伏見区のあゆみ助産院 院長)の発表を聴講したことでした。
見えない大きな力に引き寄せられるように退職し、その後1年間はフリーで過ごしつつ、あゆみ助産院に身を寄せ、左古先生のもとで研修させていただきました。ここでの経験が開業の大きなきっかけとなりました。
あゆみ助産院のような「あなたはありのままのあなたでいい」と感じられる空間、「私もあゆみ助産院のような空間を作りたい」と強く感じ、左古先生のような深くて広い助産師魂をもった助産師に、少しでも近づきたいと思いました。
その後、様々な助産所の見学や研修をさせていただき、アドバイスやご指導をいただきました。それらの経験もとても貴重でありがたいものでした。
開業の夢を胸に秘め、少しずつ準備をしながら、平成13年に千葉県の巻石堂病院に就職。その時、骨盤ケアを知り、高輪サロンで母子整体研究会やトコ・カイロプラクティック学院のセミナーを受けました。
習ったことを妊婦さんにほんの少し還元しただけで「楽になりました!」と、とても喜ばれる姿を見て、「私の助産院の一番の“売り”は骨盤ケアにしよう!」と決めました。
【岐阜で「ゆりかご助産院」開業】
平成16年に地元である岐阜県各務原市に戻り、築30年の昭和の風情の一軒家をお借りして、有床助産所「ゆりかご助産院」の開業届けを提出しました。
驚いたのは、開業して1年半くらいの間は、来院者の9割近くが骨盤ケアを求める妊婦さんや褥婦さんだったことです。その頃は、岐阜にはまだ骨盤ケアをしている産科医療機関はほとんどありませんでした。
その後、2008年11月に今の地に片流れ屋根の近代的な建物を新築し移転。和室2部屋・洋室1部屋の、明るい落ち着いた雰囲気の助産院です。多くの産院で骨盤ケアが認知されるようになってはいるものの、開業後13年以上たった今も、骨盤ケアを求めて来院される方は、少なくありません。
ゆりかご助産院HP ⇒
http://www.yurikago-j.com/
【骨盤ケアなくして正常産なし】
ゆりかご助産院を開いてから、当院での分娩取り扱い数は600件を超えました。スタッフはもちろんのこと、嘱託医師に恵まれたのは何より有難く、周産期医療センターのバックアップのもと、“産む女性が願うお産の空間”を提供できていると自負しています。
昨年からは助産師学生の出産介助実習を1例目から助産所で受けており、たとえ少人数の学生さんであっても、正常産の介助者としての助産師の技の伝承を、多少なりとも実践できているのではないかと感じています。
トコ企画のセミナーはスタッフ全員に受講してもらい、当院では妊娠中から産後にいたるまで、来院者への骨盤ケアの提供は必須です。助産所でお産をしようと考えていらっしゃる妊婦さんに、なるべく医療行為を受けずにお産していただくためにも、セミナーで習った技術を駆使しています。年々難しくなるお産の状況を見ていると、「骨盤ケアなくして正常産なし」と言っても過言ではないと感じています。
【上野順子先生のセミナー】
2013年4月、トコ・カイロプラクティック学院主催で、上野順子先生のプチセミナーを当院で開催したところ満員御礼。受講者からは大好評を得、「時間足りずでもっと話を聞きたい」との要望が出され、2014年1月「安産誘導セミナー」(トコ企画主催)を当院誘致で開催。前回以上の満員御礼となり、入りきらない程の受講生で、熱気ムンムンとなりました。
おそらくその後、何倍ものバージョンアップしたであろう、上野先生の「安産誘導セミナー」と、「母乳育児支援“技”秘伝セミナー」が、今年11/26(日)、27(月)に、岐阜県瑞穂市にある広瀬内科クリニックで開催されます。
めったにない機会ですので、ぜひ、皆さんお越しいただきたいのですが、「安産誘導」はキャンセル待ちとなり、「技秘伝」は残席僅少となったそうです。
【おわりに】
日本のお産の安全性はかなり高いレベルにあると思いますが、満足度や達成感、「自分の力で産んだのだ」と感じる女性は果たしてどれくらい? 出産後も元気に子育てできる女性はどれくらい?
そして助産師もやりがいや心からの喜びを感じながら、お産に寄り添っている人は…? ほとんどの助産師がそう感じていればいいのですが…、現実にはどれくらいいいるのでしょうね?
骨盤ケアを提供し妊産婦さんの体が快適に、より健康になると、女性としての幸せ、ひいては家族の幸せにつながると思います。もちろん、そのケアを提供した助産師への信頼度は、ますます高まること請け合いです。
助産師の特権は正常産の介助です。妊婦を正常産に導くスキルのひとつとして、助産師の皆様には骨盤ケアを習得されることを、ぜひお勧めします。