熊本県天草市の開業助産師 渡邉 由理 先生のコラム
不器用な私も「Amakusa Smile 子育て大作戦」に挑戦中!
【はじめに】
皆さんはじめまして、熊本県天草市在住の渡邉由理と申します。
私は天草で生まれ育ち、山口大学医療技術短期大学の看護科を出て、地元の産婦人科混合病棟で看護師として働き始めました。そこで、同期で入った1つ年上の助産師が、産婦さんに寄り添いながら分娩を進めている姿に、「助産師学校で1年勉強したら、こんなにも違うんだ」と感動し、助産師を目指して東邦大学医療短期大学の母子専攻科に入りました。
助産師となってすぐに大学病院に就職したのですが、三次救急指定病院だったこともあり、正常分娩がほとんどありませんでした。新人助産師の私には少し辛く、「正常分娩に関わりたいな」と思っていた頃、父の体調が崩れ、地元へ戻ることになりました。
【助産師? セラピスト?】
父の看病は9か月で終わり、再び東京で夜勤専門の当直をしながら、分娩に関わるようになりました。分娩について学んでいるうちに、アロマの香りが陣痛を進めたり、いろんな効果があることを知りました。そこで、実際に陣痛を促すと言われる精油を使ってみると、弱っていた陣痛が強くなったり、足の浮腫がひどい褥婦さんの足先から大腿にかけてマッサージをすると、浮腫が軽減するなど、リフレクソロジーの効果も実感しました。
すっかりアロマやリフレクソロジーの魅力にとりつかれてしまった私は、「きちんとを学びたい!」との想いに素直に従い、アロマセラピーや台湾式リフレクソロジーの学校へ行くことを決意。台湾式のリフレクソロジーの学校を卒業した後、リフレクソロジーのサロンで働いたこともありました。
その頃の私は助産師としてよりも、セラピストとしての仕事に興味を持っていたように思います。
【再びお産の場に、そして、骨盤ケアに遭遇】
しかし、再びお産を取りたいと思った私は、総合病院に就職しました。そこで、お産がスムーズに進まない産婦さんに多く接するようになりました。
そんなことは、以前はあまりなかったのに。。。そんなことを同僚に話していたら、渡部信子先生の骨盤ケアセミナーを紹介され、同僚と共に受講したのが骨盤ケアとの出会いでした。
渡部先生の講義は新鮮なことばかりで、実技に至っては難しく、不器用な私は、てんてこ舞いしていたのを覚えています。翌年、母子整体研究会の妊産婦セミナーを受講。病院へ骨盤ケアを取り入れようと頑張っていましたが、組織の厚い壁に阻まれ、個人的なささやかなケアにとどまっていました。
【天草に戻って】
そんな私にまたまた転機が。9年間務めた東京の病院を辞め、母の介護をするために天草へ帰ることになったのです。妊娠初期からの骨盤ケアや体作りが、妊娠中のマイナートラブルを軽減させ、分娩経過をスムーズにさせることを学んだ私は、「天草の妊婦さんが笑顔でいられるように、産後のママ達が笑顔で子育てできるようにするためには、骨盤ケアをするしかない!」と思うようになりました。
それからトコちゃんベルトアドバイザーを取得し、天草で骨盤ケア教室を始めました。宣伝があまり効果的ではなかったのか、毎回1~2人の参加者しかなく、そのほとんどが産後の方でした。参加者は少ないのですが、慣れない私には少人数の方がアットホームな雰囲気で、のびのびできて良かったように思います。
トコちゃんベルトを購入されてから来られた方からは
・妊娠中にネットで買ったけど、よくわからなくて、結局、着けませんでした。
・こんなに弱くていいんですね。強くつけすぎてたかも。など「上手く着けられなかった」との声が共通して聞かれました。
天草では分娩を取り扱っている施設は総合病院と個人病院の2施設。
そのうち総合病院ではトコちゃんベルトを売店に置き、必要時にトコベルアドバイザーが指導していると聞いていました。しかし、指導できる人数にも限りがあり、ネットで買った人には、着け方を指導してもらえる機会もないため、正しい着用法は浸透していないのが現状のようでした。
また、「妊娠中にこんな教室があることを知りたかった」という声も聞かれ、ますます骨盤ケア教室の必要性を感じていました。
骨盤ケア教室で、ベルトの装着方法の指導や操体法の指導をしている中で、「産後、体が緩んだりゆがんだままになっているから、まずそこから整えていかないといけないな」と話している人に何人か遭遇しました。しかし、トコベルアドバイザーの知識だけでは自信が持てなかった私は、「もっと体のことを深く知りたい」と思い、総合ベーシックセミナーへと進みました。
5か月間続いたセミナーの後半、椎間板ヘルニアになってしまい、足が痺れたり痛みがでることもありました。そんな時、教えて頂いた操体法をすることで症状が軽くなりました。「やっぱり“操体法”凄い!!」と確信した瞬間でした。
しかし、元々の姿勢の悪さがなおらず、痛みが出ては操体法で症状を軽減させ…ということを繰り返していました。
【“角の立つ音”が出る私も、ミッション実現目指します!】
総合ベーシックセミナー最終日、試験の日を迎えました。渡部先生の体をお借りしての実技試験で、手順を確認しながら1つ目の項目を行っていた時、先生から一言。「あんたはな、音がうるさいんや」と。「えっ! どういうこと?」。 初めは意味が理解できませんでした。続けて先生が「例えば、コップを置くのも、スーッと置けばいいのに、ガツンと“角の立つ音”をたてて置いてしまう。何に対してもそうなんや。そんな動作がクライアントへの接し方に出てしまい、不快に感じさせてしまうんやな~」と。
「渡部先生…何でわかるんだろう? 確かに家でコップを置くとき音が出てしまう。夫にも音が出ることを指摘されてたなぁ」と、私は頭の中で考えていました。その後も「音がうるさくないように」と心掛けて、実技試験の課題に挑んだにもかかわらず、癖は出続け、合格させてもらえませんでした。
全てが終わった後、先生から「世間の助産師に『渡部信子だからできるんだ』と思われては困るんや。あんたみたいに“角が立つ音”を立ててしまう人も、体作りをして、動きの練習を重ねれば、やがていろんなことを上手くできるようになるんだということを、日本中のケアギバーに知ってもらって、誰もが上手くできるようになってもらわんとアカンのや」と、笑顔で話されていたことがとても私の心を軽くしました。そして、さらなるやる気も湧いてきました。
「天草の妊婦さんや産後のママ達が、笑顔でいられるように!」と始めた骨盤ケアでしたが、まずは自分の体を整え、クライアントに不快感を与えない接し方ができるように精進していこうと思います。
「Amakusa Smile 子育て大作戦!!」私のミッションが実現するよう、皆さん見守っていてください。