「風邪と腰痛、どちらも万病の元」
 
「風邪は万病の元」とは、いつ頃から言い伝えられているのか?風邪をひけば気管支炎や肺炎にまで進んでしまうこともあることは、多くの人が知っていること。でも、それだけだったら「万病の元」と言うでしょうか?

「風邪をひきやすい人は、あらゆる病気になりやすく、風邪を機に、いっきに悪化しやすい」このことを意味しているのではないかと、私は、思っています。しかし私は、整体を学び始めてからは、「風邪よりも腰痛の方が万病の元と言えるのでは?」と思うようになりました。整体・カイロプラクティックの書物などには、「骨格のゆがみを整えることで、代謝が良くなり、自然治癒力も働きやすくなる」と書かれています。

私は大学病院で働いている頃から「腰痛を訴える妊婦は、早産しやすく、胎児の成長も悪く、安産できず、産後の経過も良くない。それだけでなく、骨盤位・前置胎盤・腹痛・イレウス・水腎症などで入院してくる妊婦も、腰痛を併せ持っている」と感じていました。

大学病院を辞め、整体サロンを開いてからは「腰痛のためにサロンを訪れる人々のほとんどが、姿勢が悪く、骨格全体のバランスが悪く、妊娠分娩歴が悪く、頭痛や肩こり、冷えなども併せ持っている」ということに確信を持つようになりました。

そして次第に「 “全身のマイナートラブルや病気”、その根底に“腰痛”がある。腰痛の原因となる骨盤や腰椎を安定させ、良く動けるようにし、神経・筋肉・内臓などがしっかり働くようにしなければ、人間は健康になれない」と考えるようになりました。

という私は、高校を卒業するまでは、風邪で学校を休んだことは一度もありませんでした。ところが、出産を重ねるうちに腰痛がひどくなり、同時に、頻繁に風邪をひくようになり、気管支炎まで起こすようになってしまいました。さらには頭痛や膝痛もひどくなっただけでなく、蕁麻疹・卵巣嚢腫・扁桃腺炎・耳鳴り・難聴・めまい・うつ…と様々な病気や症状に悩まされるようになりました。

しかし、整体を学び始めてから、師匠に整体をしてもらうようになり、セルフケアに励むようになると、それらは一切現れなくなったのです。2002年の1月からセミナーと施術で全国行脚の生活をしていますが、これまでの12年あまりの間、風邪などの病気でセミナーを欠講したことは一度もありません。

でも、私は第2胸椎がずれやすく、そのあたりが痛くなると必ず風邪気味となるのです。操体法などのセルフケアに励んで痛みが消えると、さっと症状は改善します。しかし、いくら頑張っても痛みが消えない時は、風邪もスッキリしません。そんな時は誰かに第2胸椎を整えてもらうまで続きます。

風邪が治らないということは免疫力が低下した状態が続くことです。すると、様々な感染症を招きやすくなるだけでなく、安静時間が長くなることで運動量は減少し、代謝も低下します。悪い姿勢で寝ていれば骨格のバランスはいっそう悪化します。するとさらに免疫力が低下する…つまり「風邪は万病の元」という諺は、とても科学的であると言えます。

痛みや発熱や咳など、様々な症状は生体防御反応なのです。ですから、腰痛や風邪の症状を薬や湿布で抑え込んで治ったと勘違いして無理をしたり、反対に適切な運動をしないでいると、全身の靭帯・筋肉・神経の機能も低下し、内臓の機能も低下し、便秘・腹痛・排尿障害・痔・冷え・悪性細胞の増殖など、様々な症状や病変が出現するようになります。そして、ついには命を脅かすような病気に至ることにもなりかねません。

つまり「風邪も腰痛も、体調悪化の黄色信号」と言えるのです。できるだけ軽微なうちに、骨格のバランスを整え、栄養と安静を摂って、自然治癒力を高められるようなセルフケアの普及が必要なのです。そうして健康な国民が増えなければ、医療崩壊を食い止めることはできませんからね。