千葉県の開業助産師 前平 典子 先生のコラム
産院のバイトや新生児訪問もしながら、自宅出産をメインに出張開業
【はじめに】
千葉県で自宅出産をメインに出張開業しております、助産師の前平典子と申します。
私が骨盤ケアを知ったのは、かれこれ12年くらい前。千葉県助産師会で、当時母子整体研究会講師の吉田敦子先生の研修を受けたのがきっかけでした。セルフケアで自分の体が楽になることを実感し、基礎セミナーの受講をすぐに決めました。
【整体セミナーを受講して、初めて知ったこと】
受講するまでは、妊娠中の腰痛は“妊娠しているから、しようがない”“お産が終われば治るよ”と、殆どの妊婦さんに話していたのを覚えています。今思うと「本当にすみませんでしたm(__)m」と申し訳なく、皆さんに謝りたい気持ちでいっぱいです。
セミナーを受講していくと、助産師なのに骨盤や脊柱のこと、筋肉や靭帯のことについて殆どわかっていないどころか、自分の体についても分っていないことが分りました。実をいうと、私自身は腰痛などは殆どなく、若いころは少々肩こりが気になるくらい。美容院に行くと「凝ってますね~」と言われ、マッサージをしてもらうと「気持ちいいな~」と感じる程度で、体の苦痛を感じることはありませんでした。
【スポーツ万能、猿みたいなオテンバだった私が?!】
幼少のころから「オテンバ!」と言われるくらい活発で、幼稚園の運動会でも皆の前でトランポリンの上でクルクル回ったり、鉄棒で前まわり、後ろまわりなど自由自在で、「猿のようだった」と親からよく言われたものです。小・中学校でも、陸上・水泳・バレーボール・ソフトボール・駅伝など1年中運動をし、頭より体を動かすのが得意でした。なので、自分の体が悪いなどと思ったことは、これっぽっちもありませんでした。
それなのに、セミナーの日の朝、会場に入るなり「アンタ、酷いな~」との渡部先生の声(@@)! 私としては頭の上に“??”がいっぱい! セミナー終了後、「ちょっとアンタ、診せて」と渡部先生がおっしゃるので診てもらうと、「ほら、この首! 骨盤! ほらな!」と。“何? 何?”の状態でしたが、先生に施術してもらった後の体の変化にビックリ!「人の体って、こんなに軽いの? 今までは何だったの?」「今までの体がいかに重かったのか! それを感じられないガタガタの体だったんだ!」と痛感、愕然としました。
【自分の体のことを、もっと早く知りたかった_| ̄|○ 】
セミナーを次々と受けていくと、「私の体の悪さは生まれた時から」とわかり、ガックリ_| ̄|○ 吸引分娩で生まれたことから始まり、成長過程では歩行器でスィ~スィ~と育ち、反対咬合で矯正するも失敗、寝姿といえば大人になってもうつぶせ寝…、と思い当たる節は数々。頭痛も酷く、常に鎮痛剤を持参していないと不安でした。35歳を過ぎてから、珍しい病気になり頭から頸の手術も受け…、「もっと早く骨盤ケアに出会えていれば、手術までしなくてもよかったのでは?」と悔やまれます。
骨盤ケアを学び、体を整える操体法などをし、トコグッズを使用し始めました。すると、うつぶせ寝から仰向けで寝られるようになり、頭痛からも解放されました。セミナー受講当初は、トコベルを着けても気持ち良さがわからないくらいでしたが、少しずつ体が変わってくるとベルトを着けての感覚が変わってきました。
でも、まだまだです。つい先日、渡部先生と私と前後に二人で並んで、横からの立ち姿をデジカメで見せてもらって愕然。膝は曲がり腹が前に出て猫背…_| ̄|○ 現在でも姿勢や体型の悪さは人一倍です。
【セミナーで学んだことを活かせる楽しさ】
それでも、背部痛、腰痛があっても操体法、トコグッズを使ってのセルフケアができることや、「痛みの原因がその部分ではなく、別のところからではないか?」と推測できるようになったのは、骨盤ケアを勉強してきたおかげと思っております。
現在、産婦人科で夜勤のパートをしながら、細々と自宅出産介助もしています。
私のところで産む妊婦さん達は、健診の度に骨盤ケアを行い、セルフケアを続けることで、自分の体の変化を感じて頂いています。毎日行うことで、妊婦さんたちは自分のお腹の形や下がり具合も丁寧に観察し、超音波を見る時も「赤ちゃんの胎勢・胎位を、注意深く観察するようになっているなぁ~」と感じます。
陣痛が発来すると産婦さん達は自発的に体操し、お産の経過も病院で産む妊婦さん達よりもスムーズです。何より、産院で多い子宮口のゆがみ開きがありませんし、回旋異常も殆どなく、分娩時の大量出血もなく収縮剤の点滴をすることもありません。
バイト先の産院では、時間がかかるか超スピード出産の両極端。回旋異常は本当に多く、3~4人に1人は産後の出血で収縮剤の点滴を行い、産後は腰痛で体位変換や腰を上げるのが大変です(c_c) そんな方たちにも、産後に操体法を指導したり、晒しなどでの骨盤輪支持指導をすることで、お腹の形が変わったり、スムーズに起き上れたりと、良い変化が見られます。
お母さんたちから「あれっ? 動ける!」「何で?」と言われますが、「毎日これだけでも続けてね」の一言で、お母さんたちの笑顔が返ってくると、やはり嬉しいですよね。
【新生児訪問】
他にも、地域で新生児訪問を10年以上行っています。セミナーを受ける前は、殆どのお母さんの口から「赤ちゃんを置くと泣く」との声が聞かれました。衝撃的だったのは、ハイローチェアーに反り返って寝ている赤ちゃんを見たときです。「何でこんな状態で寝られるの?」と不思議で、お母さんに尋ねると、「これじゃないと寝ないんです」と。その方は、母乳を与えるのが大変で、ミルク哺乳に変えていたり、音を立てると起きてしまうので、小声で話しをしていたのを覚えています。
セミナーを受ける前だったので、「こんな子もいるのか…」と流していましたが、セミナーを受講している最中に、その親子のことが頭に浮かびました。あの時に少しでも知識があれば力になれたのに…と。現在は、玄関先に赤ちゃんを縦抱きにして出てきたお母さんは「要注意!」とマークし、訪問指導にパワーを注いでいます。
赤ちゃんを診ながらお母さんのお話を聞き、抱き方・寝かせ方の話をして、実際にしてもらうと「軽いっ! 今まで横抱っこで寝なかったのに~」との言葉が聞かれます。
このようなことをきっかけに、生まれる前から、また生まれてできるだけ早い時期に、ベビーケアのお話ができることが理想だと思うようになりました。
【妊娠・出産・育児をテーマに“お話の会”を開催】
私のところで出産されたお母さんが、自分のお産や育児について、他のお母さん達に話してくれたことも重なり、ある方のお宅で「お話をして欲しい」と依頼を受けるようになりました。妊婦さん、月齢の早い親子数組に、不定期ですが妊娠・出産・育児をテーマに“お話の会”を開催しています。
その中で、お母さん達の体験談や困っていることを聞くと、「向き癖」「置くと泣く」が多いですね。妊娠中のお腹の中での赤ちゃんの姿勢から話し、抱き方、寝かせ方、赤ちゃんの発達、姿勢に合わせたケア、それが今後の発達に繋がっていくことや、現在の月齢よりも少し先の話までしておくと、「どのように発達していくのか?」をお母さん達は気にされるようになります。
お母さん達は、「上の子の時は何も気にしていなかったし、発達の話を聞くのは初めて!」「もっと早く知っていれば」と、声を上げられるようになりました。
【おわりに】
セミナーを受講するたびに、渡部先生をはじめとする講師の方々の、知識と技術に脱帽するばかり。同時に納得できることがたくさんあり、「習ったことをすぐに実践したい!」と胸が弾みます。そして、仕事の中で学んだことをすぐに活かせるんですから、幸せそのものです。
まだまだ、知識も技術も未熟ですが、妊婦さんをはじめ、生まれた子どもたちが辛くなく、バランスよく元気に成長できるように、お役に立てる仕事をめざし、努力を重ねていきたいと思います。