皆さま、こんにちは。“~助産師の 女性と赤ちゃん・こどものためのサロン~ Ohana” 院長 平山 小百合です。
初めてコラムを書かせていただいたのが、福岡市で「トコちゃんの骨盤ケア教室」を開くようになった3年前でした。今回は2回目のコラムです。貴重な機会をいただきありがとうございます。
【トコ企画セミナー3種を担当】
現在トコ企画では「メンテ“力”upセミナー」をはじめ12種のセミナーが開催されていますが、そのうち、「新生児ケアセミナー」を昨年の2月から、「骨盤ケア アドバンスセミナー」を昨年の9月から、九州を中心に講師を務めております。
母子へのケアとして「妊娠中の骨盤ケアはベビーケアの始まり。とても重要なこと!」と考え、「子どもたちの健やかな成長と発達のために、微力ながら働きかけていきたい」との私の思いは年々膨らみ、去る6月3日、京都で「赤ちゃん発達応援セミナー」の講師としてデビューいたしました。
私の思いを現実のものとするためにも、九州をベースとしながら、セミナー講師として多くの方々に、できるだけ丁寧にお伝えしたいと思っています。
【骨盤ケアとの出会い、妊娠・出産・育児】
渡部信子先生との出会いは、今から13年前、総合病院に助産師として勤務していたときでした。当時、骨盤ケアの効果に衝撃を受け、この世界にのめりこんでしまいました。
10年前に娘を出産。不妊治療を数か月休んでトコ・カイロプラクティック学院の、カイロプラクティックセミナーを受講中に自然妊娠しました。その時の驚き・感激は、今も鮮やかに覚えています。受講生同士で実習していたことが、体のメンテナンスになった気がします。
切迫流早産・難産を経て生まれた娘は、「ずっと泣く」「寝ない」「飲まない」「遊ばない」。つまり、ずーっと抱っこの「育てにくい子」でした。セミナーで学んだ「赤ちゃん(人間)のニュートラルな姿勢=丸く」になりたがらず、反るので抱っこしていて落としそうでした。抱っこと授乳で私の一日はあっという間に終わり、来る日も来る日も…、奈落の底に突き落とされたかのような、引きこもり生活が続きました。
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https://med.tocochan.jp/abstracts/category/meeting/jam/jam-28/
私は細く薄い体型ですから、胎内スペースが狭く、そのうえ、いつも張り気味の硬い子宮でした。そのため、娘は胎内で早い時期から丸くなれず、自由に動くこともできず、体が捻じれた状態で長く過ごしました。娘は丸くリラックスした姿勢の“体験と学習”ができないまま生まれてきたのです。
私のこの辛い妊娠・出産・育児経験が、“子どもの発達ワールド”に私を引きずり込んでしまいました。育児にまだまだ手がかかるうちからも、寸暇を惜しんで読書。幸い母は元気で近くに住んでいるので、娘を預かってもらいながら、NPO法人母子整体研究会やトコ・カイロプラクティック学院をはじめ、さまざまなセミナーを受講。ケアでいただいたお金のほとんどをセミナー受講費や交通費につぎ込みました。
また、「サロンOhana」やパート勤務先のクリニックなどで、多くの妊産婦さんや乳幼児へのケアを提供し、経験を積み重ねてきました。それらの中から学んだことを、今回、少しばかりお話したいと思います。
【胎生12週から丸い姿勢】
文献によっては、「胎生12週から体を丸く保つための原始反射が発生する」と書かれています。それにより胎児は、胎内で顎を引き、頭頂から尾骨までを捻じったり蛇行させたりすることなく丸い姿勢を保ち、手足を自由に動かしながら成長・発達していきます。
この丸くなる姿勢は、飛行機に乗った時に激しく揺れたり墜落しそうになった時に、取るようにと誘導される姿勢です。これは体を守るうえで一番理想的な姿勢であり、産道を通るときに一番通りやすい姿勢でもあります。
丸い姿勢で過ごすからこそ、出生時に頭が産道をくぐり抜けた際に、反対の伸びる姿勢の原始反射が発生します。そこから、胎外生活を送るためのスイッチがどんどん入り始める“成長・発達”が始まります。
【発達の“順序性”と“個別性”】
発達には“順序性”と“個別性”があります。個別性の代表的なものは“飛び級”です。これは、発達の階段を飛び越してしまうことで、例えばハイハイをせずに立ってしまうことなどがそうです。とび越えた分は、違う動きで代償をしながら生活することになり、そのことが、動きにくさ、疲れやすさ、姿勢の崩れ、意欲低下、ケガをしやすいなどにつながります。
“飛び級”は良好な発達にとっては“ふさわしいもの”ではありませんから、やがて“巡り直し”が必要になります。それは何歳になってからでも必要で、やろうと思えばできます。ですが、できるだけ“巡り直し”が必要でない方が、快適に生きることができます。
ましてや、子宮の中からの“巡り直し”をしないといけないようでは、時間がかかり、「根っこが深いなぁ…」と自分自身や娘を見て感じます。
“個別性”には、そのお子さんを取り巻く家庭環境と、社会環境が大きく影響すると考えられます。また、その時のコンディションにも影響を受けます。
ですから、できるだけ望ましくない個別性が出現しないよう、お子さんの生活空間を工夫したり、家族全員がよく学び、協力し合うことが大切です。お子さんはもちろん、家族全員の安全と健康に留意することも大切です。
【出産までに母親に理解しておいてほしいこと】
赤ちゃんが生まれ持った無限の力を存分に尊重し、無理をさせずに発達の階段を一段ずつ登れるようにするために、大人に理解していただきたいことを次に挙げます。
1.母体にとってマイナートラブルの少ない快適な妊娠生活、胎児にとっても快適な胎内環境作りのためのセルフケア法
2.胎外生活の始まりとともに、体温保持・呼吸・哺乳・排泄などがスムーズにできるよう手助けする育児技術
3.胎内や産道で起きた不調は、生後数時間以内に解決の方策を開始する必要があることと、そのためのベビーケア法
4.発達に関する基本的な知識と、赤ちゃんとのかかわり方やお世話の仕方
5.発達の“巡り直し”に関する知識と方法
以上のことなどを、妊娠前の女性や妊婦さん、育児中の女性にはもちろん、セラピストや、母子保健や保育にかかわる方々に伝え、母子を取り巻く環境が、“快適が当たり前”になるよう願っています。
【これからの計画】
最近は、子どもたちに必要なこのようなケアの必要性を伝えていると、異業種の専門家から、お声をかけていただけるようになりました。
子どもたちの発達に違和感を抱きながら、不登校のこども達とかかわっている内科医・小児歯科医・小学校教諭、薬剤師の方々と、「今、子ども達にできること」をテーマに「発達障害のグレーゾーンにしない」「心も体も丈夫な子ども」などを目標に、取り組む計画をたてていきます。
奈落の底から這い上がった私が手にしたものを、少しでも多くの人にお伝えし、役立てていただけることを願い、「骨盤ケア アドバンスセミナー」「新生児ケアセミナー」「赤ちゃん発達応援セミナー」の講師として頑張ります。セミナーで、皆さまとお会いできる日を、楽しみにしております。