皆様、はじめまして。愛知県みよし市にある花レディースクリニックで働いている助産師、戸谷弥生です。師長の原田さんからバトンを渡されましたので、思いつくままに書いてみました。
私が骨盤ケアを知ったのは、今から11年前、岡山県で受講した母乳育児セミナーのときでした。操体法の実習をしたとき、「あれっ、体が軽い! こんなちょっとのことで?!」と、体が変わったことに驚きました。
それまでは、日常生活に不自由を感じることがなく「自分の体がしんどい」との自覚すらありませんでした。あまりの感動と驚きで、もっと知りたくなった私は、講師の先生に声をかけました。すると彼女は(旧)母子整体研究会という会があることや、セミナーを開いていることを教えてくださいました。
そのセミナーに通い始めると、講師の渡部信子先生に「左右の脚長差が6cmもある。太ももの左右差は10:7。今まで診てきた助産師の中で、股関節はワースト3に入る。セミナーを受講しているだけではあかんわ~、施術を受けにおいで」と言われました。
「自分の体がそんなに悪いなんて!」と、ビックリ仰天! 若い頃はアメリカで1年間エアロビクスのレッスンを受けていたこともあるくらい、体には自信がありました。
股関節だけでなく肩や首などのどこにも、若い頃は何の不自由も感じることなく過ごしていたのですが、年齢を重ねるうちに、歩きにくさや動きにくさが出現してきました。特に5年前頃からは歩くのも辛く感じるようになりました。渡部先生の施術やセミナーに毎月通うようになると、徐々に脚長差が縮まり、細かった患側の大腿部の筋肉も太くなってきました。
ところが、歩行が楽になるにつれ、肩が凝り首が痛くて辛い日が多くなりました。渡部先生にそのように話すと、「知覚神経が蘇って、痛みを感じられる体になったんや。いいことなんやで~」と言われ、「そうなんだ~(@@)」とこれまたびっくりしました(*^_^*)
「セルフケアを頑張らなくては」と思ってはみたものの、セミナーで操体法をしてもトコちゃんベルトⅠやⅡを着用しても、気持ち悪くなり続けられません。そうしているうちにトコちゃんベルトⅢが発売になり、それを着けると、初めて自分の体が楽になることが分かりました。私の体はバランスを取るのが難しい体だったんですね。今ではⅢベルトと操体法が欠かせなくなっています。
私がセミナーや施術を受けて最も衝撃を受けたことは、「自分の体の悪さは、胎内姿勢に原因があった!」と知ったことでした。母から聞いたことは…、
・頭位で正常分娩だった
・先天性股関節脱臼だった
これらのことから、子宮内で長い間、膝を伸ばしていたために先天性股関節脱臼になったのだと知りました。「骨盤ケアで改善!PART 7」を読んだ時“子宮の中で膝を伸ばしていることが先天性股関節脱臼の原因になる”と書かれていて、ショックを受けました。単殿位だったのが頭位に変わって生まれてきたのか、ずーっと頭位で膝を伸ばしていたのかは、母に聞いてもよくわかりません。
胎内の不良肢位が先天性股関節脱臼につながり、それが現在の体の不調につながっている…、そこで、改めて気付きました。今思い返すと…、小学生の頃は運動が苦手で、集中力もなく「落ち着きのない子」と言われていました。
看護学生時代は居眠りが多く、「頑張って勉強しなくては!」と思っても、体がすぐにしんどくなり眠気に襲われ…。そればかりか、学生時代の記憶そのものがあまりないのです。ボーっと過ごしていたんだと思います。
子宮環境の悪さから不自然な胎児姿勢になり、股関節が脱臼し、全身や心にも影響を与えることを、身をもって体験してきた私です。先日、和泉先生が書かれていたコラム №178を読んだとき、「あ~、私と同じだ~」と、身につまされる思いでした。
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http://web.tocokikaku.com/column/column.php?CLM_NO=178
この体験が「私が関わる全ての妊産婦さんと胎児、褥婦さんと赤ちゃんに、より良い状態で過ごしてもらいたい」と、私を突き動かしました。でも、こんな私が骨盤ケアを提供できるようになるまでの道のりは、長いものでした。
順次セミナーを受け、ようやく3年前にベーシックセミナーに合格! 骨盤教室や骨盤外来を担当させてもらえるようになりました。今は骨盤ケアを伝えられる喜びに満ちた毎日を送っています。
【教室や外来で感じること】
・操体法を行っても、何が快なのか不快なのか分からない人が多い。
・骨盤外来では症状の強い人が多いが、操体法で楽になることが多い。
・分娩後に聞くと、症状がない人はトコちゃんベルトは着けているものの、
操体法はしていない人が多い。
・経産婦の腰痛などは操体法やベルトで症状が緩和される人が多い。
(以前の妊娠・分娩・産後に体を悪くしている人が多いのでは?)
【これからの課題】
3年前に比べると骨盤ケアはかなり浸透しているのを肌で感じますが、トコちゃんベルトにサイズがあることを知らずに購入したり、知人にもらったサイズの合わないベルトを無理やり不適切な位置に着けていたり…と、ベルトの正しい選択や着用法の間違いに時折遭遇します。
間違った使用では症状が取れず、逆に悪化を招くこともあるので、正しい使用法を細かく伝えていきたいと思います。
症状が強い人は少しでも改善するように、症状が無い人には予防と胎児の良い成長のために、私のような先天性股関節脱臼の子が生まれないように、これからも骨盤ケア教室や外来に心血を注ぎながら、これからの人生を歩んでいきたいと思っています。