愛知県の勤務助産師、原田友紀さんのコラム
“花レディースクリニック”での骨盤ケアの取り組み

 
 みなさん、はじめまして。愛知県みよし市にある花レディースクリニックに10年間勤務している助産師で、師長の原田友紀です。恥ずかしながら10年前は「骨盤ケア」という言葉すら聞いたことがなく、ウエストニッパーを褥婦さんに勧めていました。
 5年ほど前に(旧)母子整体研究会のセミナーに参加し、そこで骨盤ケアの知識と技術を得ました。3年前にメンテ“力”upセミナー受講後、トコちゃんベルトアドバイザーの資格を得て、2年前にトコ・カイロプラクティック学院のベーシックセミナーに合格しました。
 これをもとに、助産師外来や病棟で、症状のある妊産婦さんに骨盤輪ケアの大切さを説明し、トコちゃんベルトの着用や操体法の指導、簡単なテイクケアができるようになりました。

 当クリニックでは、スタッフと妊産婦さんとの距離が近く、お互いのコミュニケーションがとりやすいことが特徴です。また、当クリニックの院長・副院長は兄弟で、お二人ともスタッフや患者さんの声に、しっかりと耳を傾けてくださるお人柄です。骨盤ケアの導入の際にも話を聞いてくださり、理解を得て、3年前より導入することができました。

【ケアの現状】
◆外来
 骨盤教室を2回、骨盤外来を1回、毎月開催
 妊娠初期の妊婦全員にマタニティーケアハンドブックを配布
 逆子体操の指導を、膝胸位から「四つ這いお尻ふりふり片手伸ばし体操」に変更
 トコちゃんベルトを実際に着用して「いい!」と感じた人が周囲の人達に話をしているようで、「ベルトのことを聞いた」とおっしゃる方からの、問い合わせや質問が増えています。「妊婦さんの骨盤ベルトの認知度が上がってきたな~」と感じます。
◆入院
 分娩セットにさらしタイプの骨盤ベルトを組み込み、産後すぐに着用
 各室に骨盤支持法・操体法の説明書を設置
 おひなまき・マイピローネオ・天使の寝床を使って、まるまるねんねの紹介
 院内専用天使の寝床・マイピローネオ・トコちゃんベルトを貸出・試用可に
 骨盤ケア用品・まるまるねんね関連用品の販売
◆スタッフ教育
 骨盤ケア勉強会の開催
 メンテ“力”upセミナーへの参加を推奨
 
【骨盤ケアを導入後の変化】
・腰痛やお腹の張りを訴える妊婦さんには、医師やスタッフがベルト着用や骨盤教室を積極的に勧めてくれるようになった。
・「四つ這いお尻ふりふり体操」は逆子が治るだけでなく、血行が改善されるので寝つきが良くなったり、腰痛が緩和したりと、良い変化がたくさん聞かれるようになった。
・切迫流早産で入院中の妊婦さんには、ベルトの着用も勧めるようになった。
・分娩遷延時や回旋が悪い時に「四つ這いお尻ふりふり体操」や腰回し体操をする姿が見られるようになってきた。これで回旋や分娩進行が良くなることが実際にある。
・分娩直後の骨盤支持をするようになってから、500g以上の出血に出会うことが減り、100~300gまでの出血量で治まることが多くなった。
・啼泣が強く反り返りの強い新生児には、おひなまき・まるまるねんねを、授乳指導時には肩周りの体操を指導するようにしたとこで、強い乳房の痛みを訴える褥婦さんが減り、褥婦さんにも好評。

【おわりに】 
 外来通院中にできるだけ多くの方に骨盤ケア教室に参加してもらえるよう勧め、骨盤ケアについて知ってもらいたいと思っています。自分の体に合った骨盤支持や操体法を知り、自分の体や胎児にとって良い状態で出産・育児を迎えてほしいと願っています。
 そして、「このクリニックで出産して良かった~」と言ってもらえるよう、日々努力してまいります。

 当院には私以外にもう一人、ベーシック修了助産師、戸谷弥生さんがいます。骨盤ケアに関しては私より先輩で、先天性股関節脱臼でした。歩行も困難な時期がありましたが、骨盤ケアを続けることで、今は足取り軽やかに働く彼女の姿が見られるようになりました。当院に骨盤ケアを導入できたベースには、実は、彼女の“熱い心”があるのです。
  というわけで、戸谷さんにバトンを渡します。次号もお楽しみに (^o^)/~