兵庫県の個人医院勤務助産師、伊藤雅江さんのコラム
“骨盤ケア・まるまる育児”で、脊柱側弯症の娘からお手本のような孫

 
 みなさん、はじめまして。兵庫県の個人医院で働いている助産師で、3人の娘がおります。3人とも脊柱側弯症で、私も脊柱側弯症ですので「遺伝かな?」と思っていたのですが、渡部先生から「そんなん、遺伝とちゃうわ~。アンタが側弯で産道もゆがんでいるから、ゆがんで生まれてきたんや」と言われてしまいました。
 そんな私にも、昨年次女が妊娠し、初めての孫ができました。妊娠から分娩、産後と、楽しみながら見守ってきたことを渡部先生にお話しすると「コラムの原稿を書いて!」と言っていただき、「私でいいのかな? 他愛のないことしか書けないけど…」と思いながら書き連ねてみました。

【妊娠初期】
 次女はおじぎをすると右背の上部がポッコリ盛り上がり、胴体も背骨も固くて、背骨が左右にS字状にうねっているのがはっきり分かります。後ろから見る骨盤は左右の高さは違うし、仙骨はボコッと飛び出ているし…。どう見ても順調に妊娠分娩が進むようには、私には思えませんでした。
 幸い腰痛を訴えることもなく、ツワリもたいしたことがなかったのですが、妊娠初期からトコベルⅡを使用し、骨盤ケアの三原則に基づいて、ケアに励むようアドバイスしました。
 次女は大阪市内に住んでいるので、お互いに行き来しながら、私がこれまでに習ったテイクケア(骨盤ゆらゆら 肩回し 肩甲骨調整 足首足指回し…など)を施しました。同時に、本人には「側弯だと妊娠・分娩のリスクが高い。毎日のセルフケアが大切」と説明しながら、操体法(しっぽ探し、ひざ押し、体側伸ばし)を勧めました。次女も私の思いを分かってくれて、毎日コツコツ、1日2回セルフケアを続けました。
  
【妊娠中期】
 妊娠17週、5カ月に入り安産祈願で有名な宝塚市の中山寺に行ってきました。境内には妊婦さんや親御さんらしい人達が、列をなして腹帯を購入している姿にビックリしました。「果たしてこの人達は、骨盤ケアをしているのだろうか?」と思いながらも、次女の安産祈願をしてきました。
 次女は看護師をしており、通勤や買い物などで毎日よく歩いていたおかげか、切迫流産早産の心配もなく経過しました。お腹が目立つようになった頃から、手術用の腹帯で腹部を支えました。

【妊娠後期】
 妊娠36週になり、次女が我が家(実家)に戻ってきました。ほぼ毎日5~10kmのウォーキングで体力作りに、操体法で体のバランス改善に励んでいました。私の休日や当直の入り、夜勤明けには、一緒にウォーキングを楽しみ、たくさんの思い出もつくりました。
 ・インスタントラーメン発明記念館まで歩いて、オリジナルマイカップ作り。
 ・池田市五月山動物園へ、ウォンバット・ワラビー・アルパカなどを見に。
 ・弁当を作って公園までウォーキング。
 ・トイザらスでの買い物や、初めてのコメダ珈琲でスイーツ…などなど。
 しかし、いくら私と次女の二人が頑張ってケアに励んでも、赤ちゃんが入っている子宮は硬く、骨盤のゆがみはまだ歴然とあり、「赤ちゃんはこの骨盤の中を、ちゃんと回りながら通って来られるのやろか?」との心配は消えることはありませんでした。

【分娩】
 予定日の4日前、“ステーキのあさくま”まで、二人で歩いてランチに行き、焼肉を食べました。その晩、23時頃に「恥骨が痛い」と言い始め、しばらくすると10分おきに陣痛が来るようになりました。「焼肉を食べると陣痛が来るというジンクスは当たっている!」と、ちょっと嬉しくなり、二人で顔を見合わせて笑いました。出産予定施設は私の勤務先のクリニックで、翌日の私は日勤の分娩係です。「その時間帯に生まれてくれますように」と祈る気持ちで、ケアに励みました。

・2時:陣痛5分間歇。四つん這いでお尻ふりふり体操。子宮口2cm開大。
・5時:陣痛3分間歇。フーフー呼吸しているが、少ししんどそう。
    子宮口5cm開大。赤富士を描く余裕あり。
・7時:クリニックに到着。子宮口7cm開大。大阪市内から娘婿が到着。
・9時:子宮口全開。骨盤がゆがんでいるせいか、息んでもなかなか進まず。
    医師に相談して分娩促進剤を使用してもらうことに。
・11時42分:3,296gの元気な女児出生。
 その日の日勤帯は他に未分娩がいなかったため、次女にだけ付いていることができました。何という幸運! 空気の読める初孫ちゃんですo(^-^)o 娘婿もお産に立ち会うことができ、みんなに感謝です。

【産後】
 入院中はマイピーロネオを着けておひなまきにし、コットにタオルケットでくぼみのある寝床を作り、まるくネンネできるようにしました。退院後はネオモック、スリングも使用し、今まで習ったことを全て孫育てに活用してみました。
 次女はトコベル+腹部にはアンダーベルトRenewを使用し、操体法で体の回復を促しました。我が家には産後1カ月間おりましたが、母乳マッサージや、テイクケアを毎日して、退院時は母乳が全然でていなかったのに、3週間で完全母乳に成功! 1カ月健診ではすくすくと大きくなっていました。手がかからないので、次女も楽しく育児しているようです。 
 現在、孫は8カ月に入り体重も9キロに突入。喃語やハイハイも活発で、離乳食も2回、7ヶ月からベビースイミングも始め、健やかに育っております。
 まるまる抱っこ、まるまるねんねで、よく寝てよく母乳を飲む、お手本のような成長発達に、家族一同が幸福感を満喫。骨盤ケア・まるまる子育てに感謝しつつ、「脊柱側弯症になりませんように」と、知識と技術を総動員しながら孫育てを楽しんでいます。