青森県八戸在住の助産師、上野 順子です。2013年12月に『安産力を高める骨盤ケア』を執筆して、家の光協会から発行し、同時に、「安産誘導セミナー」の講師デビューをしました。2015年2月からは「骨盤ケア アドバンスセミナー」の講師もしています。私がどんな経緯でこんな仕事するようになったかについては、こちらに詳しく書いていますので、読んでみてください。
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https://med.tocochan.jp/abstracts/category/society/bosei/bosei-54/
骨盤ケアのセミナーを初めて受けたのは、2007年11月。「骨盤ケア」を活用してお産を進めていました。ところが、年を追うごとに習った技術では上手く行かないお産に当たるようになり、「まだ知識が足りないのか?」「まだ技術が足りないのか?」と、何年もせっせと東京まで足を運び、セミナーに通い続けました。
なのに2013年3月いっぱいで勤務していた産院がお産の取り扱いをやめたため退職。骨盤ケアを活用したお産の介助ができなくなりました。
それからは「安産誘導セミナー」の準備と、『安産力を高める骨盤ケア』の執筆に忙殺されましたが、「安産誘導セミナー」が始まると、「安産誘導セミナーの講師がお産を取っていないのでは、全国規模で進行している脆弱化著しい産婦さんに対するケアを、受講者に教えられないのでは?」と悩むようになりました。
個人医院を退職して1年後に、地元の総合病院に勤め始めました。「お産を取れる助産師が足りない」とのことで喜び勇んで応募したのに、まさかの外来配属_| ̄|○ 半年間がんばってみましたが、「お産に関わりたい気持ち」が高まるばかりで、どんどん元気がなくなってしまい、信子先生に「皿の水が干上がったカッパみたいやな~」と心配されるほどでした。
そんな時に「安産誘導セミナー」を誘致してくれた盛岡の産院から「働いてみないか?」と声がかかり、2015年1月から、盛岡市の産院に非常勤で月10日ほど勤務することになりました。隣の県とはいえ、通勤にはバスと新幹線を乗り継いで、片道2時間かかります。おかげさまで、元気を回復。往復4時間の通勤時間も苦にならず、今は楽しくお産を取っています。
骨盤高位ができない妊婦さんがどんどん増え、「お尻ふりふり片手伸ばし」を信子先生に披露した2011年11月頃、信子先生は「私のクライアントは歩いて施術に来る人で、骨盤高位もできる。あんたのクライアントのように、歩かず、動かず、歩けなくなったような人はおらへんで~。そんな歩けない妊婦さんを相手にしてるなんて、大変やな~」と言われ、「ああ、私の妊婦さん達は、歩けないほどの重症者だったんだ」と初めて認識したのでした。
習った技術をそのまま使って効果があったのに、数ヶ月するとそれが効かなくなる。どうしたらその効果が出るようにできるか…? アレンジをする。うまくいくが、また数ヶ月後には効果がでない妊婦さんが現れる。「重症化が止まらない。なぜなんだろう?」。そんな答えの出ない謎が、何年間も、頭の中をで渦巻いています。
未だに「妊娠中の腰痛は、お産が終われば治る」と外来で言っている医師や助産師、産科勤務の看護師がいます。お産の時どうなるか、想像できないんでしょうかねぇ? ましてや親の世代が、娘や嫁にそう言っていたら、妊婦さんが妊娠中の腰痛を問題視するわけがないのです。
「腰痛はお産が終わっても良くならない! それどころかお産を大変にする!」っていう真実を知らされていないことが、重症化に歯止めがきかない理由だと思います。
今の妊婦さんは、体育の時間がグンと減ったカリキュラムで育った“ゆとり世代”です。ほぼ毎日体育があった私たち (妊婦の親)の世代とは違います。生まれた時から家に車があり、成人したら自分用の車を持ち、歩くのはスーパーの中で買い物をする時だけ、という生活をしています。
15分続けて歩けなければ、高齢者なら「ロコモ判定」なのですが、15分も続けて歩く必要がないので、自分が「歩けないほど弱ってる」とか、骨盤ガタガタ重症者(+ロコモ)だと気づきません。「腰が少し痛いけど、歩かなければ痛くない (^O^)v だから歩かない」、「寝返りすると恥骨が痛いけど、寝返りしなければ痛くない (^▽^) だから寝返りしない」。
こんな調子で歩かず、動かずの生活を続けていると、ますます骨盤まわりの筋肉が落ちて、骨盤は広がります。加えて、横座りや仙骨座りをするので、骨盤はゆがみます。寝返りしないと、いつも同じ方にばかり向いて寝るので、子宮がそちらに偏ってしまいます。回旋異常の原因となり、お産が進みにくくなります。
そしてある時、骨盤に限界が来て突然、トイレに歩くのも大変なくらい痛くなりΣ(>へ<)、病院に行きます。産科から整形外科に紹介されます。「妊娠中だから何もできない」と、安静指示と湿布が出される程度です。最近は「インドメタシンの赤ちゃんへの影響が心配なので」と、湿布の処方もされないとも聞きます。
痛みでますます安静にします。腰痛はますます重症化します。ロコモもどんどん進みます。
妊娠中の腰痛の特効薬は「骨盤ケア(上げる。支える。整える)」だけです。
【産科医療従事者の方々へ】
妊産褥婦の腰痛には「トコちゃんベルト」だけでなく「骨盤ケア」を処方してください。
【妊婦さんへ】
腰が痛いのはお産の時までに、痛みをなくすか和らげる方法を知っておかないと、お産の時は陣痛の痛みと腰痛とで、痛みが増幅されて、とても大変なことになります。陣痛が1でも、感じる痛みは10になります。
10分おきの陣痛は、まだそんなに痛くはないんです。5分以内になって「痛い(@ロ@;)」、2分おきになって「痛い(>o<)」、1分おきになって「痛い(T-T)」…、普通はこんな感じです。
ところが、10分おきの陣痛で、「痛い (T-T) 」は、放置した腰痛(骨盤のゆがみ)のせいです。
骨盤ケアをかじっている助産師の本音をいうと、「なぜ、妊娠中に『腰が痛い。恥骨が痛い』って、外来で言わなかったかなぁ~。妊娠中にいくらでも治す時間があったのに…。陣痛が来るまで放置していた痛みを、今言われても困るわ~。でも、できるだけ早くお産にしてあげたいから、陣痛の合間に動いてちょうだいね」です。
最近は「痛いから動きたくないです!」って言われます (゜∀゜;ノ)ノ
ジャアドウシタライイノ?
「骨盤ケア」を知らない助産師は、「この人ったら、たいした陣痛でもないのに、こんなに痛がって! 痛がりね(`ヘ´)」で終わりです。放置されます。
赤ちゃんはゆがんだ骨盤に引っかかって、無駄に痛く苦しい思いをして生まれてこなくてはならないので、もっと大変です。お母さんは「腰が痛い」で済むけど、赤ちゃんはお産の間じゅう、骨盤が整うまでず~っと“頭”が痛いんです。
赤ちゃんの頭に骨盤の骨が挟まっているんですから、お産の間、じっとしてたら、挟まったまま進みません。長引けば赤ちゃんは弱ってしまいます。赤ちゃんのために、骨盤が整うように動いてあげてください!
産道を通る時に、赤ちゃんの頭は細長く伸びて、お産に協力してくれるのですが、最近の赤ちゃんは、それだけではなく“ゆがんだ骨盤に合わせて”、頭も顔も“ゆがませて”生まれてきます。だから上顎と下顎がずれてる子が、いっぱい生まれているのです。とても痛々しいです (T-T)
残念ながら「お産中の骨盤ケア」ができる助産師はまだ少人数しかいません。だから「難産の原因ナンバー1」の「回旋異常」予防のために、陣痛が来てからも『安産力を高める骨盤ケア』を参照して、自分で「骨盤ケアの体操」を続けてください。
妊娠中は腰痛がなくても、定期的に月1回、「骨盤ケア教室」に参加してください。気付いていないゆがみや腰痛が、たいてい見つかります。お産が近づくと、骨盤のゆるみが加速するので、妊婦健診の間隔と同様、月2回から、週1回のペースで参加してください。そして、毎日「骨盤ケアの体操」をしてください。継続が大事です。
私は八戸市で、2013年5月から「骨盤ケア体操教室」を週1回、「赤ちゃんまるまるケア教室」を月1回開催しています。参加者は毎回3~5名ほどですが、約2年半続けています。資格をお持ちの皆さんは、ぜひ定期的に教室を開催してください。
妊産婦さんや育児中のお母さんが、日本のどこに住んでいても、こんな教室を受けられるよう、勉強をしてアドバイザーの資格を取って、ぜひ定期的に教室を開催してください。
切迫早産で「安静指示」を言い渡されている自宅安静の妊婦さんも、入院中の妊婦さんも、「骨盤ケアの体操」を、1秒1cmくらいのスピードでゆっくりやってください。ベッド上でできる体操なので大丈夫です。できれば1回5分くらいずつ6回=1日total 30分。
『安産力を高める骨盤ケア』でお願いした「毎日30分の運動貯金」にして、お産と育児のために筋力を蓄えましょう。
「腰痛対策」+「筋トレ」にもなって、一石二鳥三鳥です。
大事な事なので、もう一度、繰り返します。
「腰痛は産んでもなおらないし、お産の時、もっと痛くなります」 「骨盤ケア」して、お産に臨んでください <(_ _)>
私のブログ「もゆははのブログ」にも、いろんな体操やエピソードを書いていますので、読んでみてくださいね (o^-‘)b
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