三浦智奈美先生のコラム
笑顔の母子が北の大地に増えることを願って
皆さんこんにちは、私は北海道の帯広市で、骨盤ケアを主として出張専門で働いている助産師の三浦智奈美と申します。私は愛媛県で生まれ、高知で助産を学んだ後、徐々に北上し、高松赤十字病院で5年、神戸の総合病院とクリニックで7年働き、ついに北の大地、十勝平野の中心地、帯広にたどり着きました。日本最大の穀倉地帯で、広大な畑や牧場が広がる十勝では、移動手段はほぼ100%車です。その上、美味しいスイーツでも有名な土地ですから、この地に住んで10年目の私も、ますます横に(?!)成長しながら、楽しく暮らしています。空気も食べ物も美味しい十勝で、友人・知人に恵まれ、仕事も楽しくできているのは、この地にも“骨盤ケア仲間”がたくさんいるお陰と感謝しています。
私が骨盤ケアを学び始めたのは、神戸で働いている時でした。妊娠中や産後のお母さんから身体の不調の相談が多くなり、その解決方法に困っていたことや、私自身が畳での分娩介助で腰痛が悪化し、悩んでいたことがきっかけでした。交通の便の良さを生かし、大阪へ母子整体研究会やトコカイロ学院のセミナーに通い、学んだことを実践していく中で、その効果に驚くとともに、自分の腰痛もなくなり、疲れを感じにくい身体になっていきました。
その後、結婚で親類もいない帯広市に移りましたが、骨盤ケア仲間の繋がりで、助産学生の臨床指導や、市町村の乳幼児健診・教室、性教育などの仕事を紹介してもらうことができました。そして、世間では高齢と言われる37歳と39歳で出産しましたが、骨盤ケアのお陰で妊娠中も仕事を続けながら、快適に過ごすことができました。ただ、次男は骨盤位が治らず、経腟分娩にもトライしたものの、結果的には帝王切開になってしまいました。初めの頃は、「どうして? 色々やったのに…」という思いもありましたが、今では手術後の骨盤ケアの大切さや、具体的な方法の指導に大いに役立っています。
3年前からは病院でパート勤務をし、分娩介助や院内での骨盤ケアも行っています。病院と地域の両方で活動する中で、10年前の四国・神戸と比べ、北海道では、腰痛重症者や腹直筋離開のひどい妊婦、産後の“シモのトラブル”に悩む人が多い様に感じます。1年の1/4は雪と氷に覆われて、気軽に散歩もできない車社会、携帯メール・スマホの普及など、多くの要因が関係していると思いますが、このままでは快適に妊娠期間を過ごし、楽しく育児をするのがますます難しくなるのでは…と、危機感を持ちながらケアをしています。
先日、腰痛を訴える褥婦を訪問しました。実母に「しっかり骨盤を締めないと悪露の出も悪く、いいおっぱいが出ないよ」と言われ、きついガードルの上にドラッグストアーで購入した骨盤ベルトを巻き、さらにウエストニッパーまでしている方がいて大変驚きました。十勝でもずいぶん骨盤ケアが浸透し、実践されていると思っていましたが、「母子に携わる我々がやらなくてはならないことが、まだまだ多い」と実感しました。
また昨年、息子の小学校の入学前説明会で先生が、「①自分の名前をひらがなで書けること。②和式トイレを上手に使えること。この2点を家庭で練習して来て下さい」と話され、唖然とすると同時に、中学校に性教育の講演で訪れたときのことを思い出しました。全員で蹲踞をしたところ、半数以上の生徒がフラフラしながら倒れたのです。小学校でも「和式トイレを使えない子が多くなっているんだ!」と、改めて思い知らされました。「ケア提供者が正しい知識を身につけ、乳幼児期、思春期、妊娠中、産後と、一生を通じて継続的にケアしていかなければ…」と強く思いました。
新生児ケアは、特に北海道の赤ちゃんに、今後ますます必要になってくると思います。しかし、セミナーを受講するのに東京に行くのはもちろん、札幌に出るのにも1日がかりとなる地域がたくさんあります。全道各地でセミナーが開催されるのが理想的ですが、そのすべての地域に東京から講師に来てもらうことは、現実的に難しい状況です。そんな中、渡部信子先生から、「あんたが講師になって、北海道の隅々でセミナーを開いてな。まずは、東京の新生児セミナーを受講してみ~」と声をかけていただきました。正直「とんでもない話やっ!」と思いつつ、まずは自分の勉強のためと思い、3月に東京での小林いづみ先生の新生児ケアセミナーを受講して来ました。実際に受講してみると、とても分かりやすく、またすぐに役立つ内容が満載で、これまで以上に新生児ケアの大切さと、普及活動の必要性を感じました。
そしてこの度、足手まといを承知で、6/18(木)に札幌で開かれる新生児ケアセミナーのアシスタントを務める覚悟を決めました。私自身、もっともっと学習を重ねなくてはいけませんし、まだ子どもたちが小さいので、歩みはゆっくりですが、笑顔の母子が北の大地に増えることを願い、皆さんと一緒に活動していきたいと思っています。どうぞ宜しくお願いします。