アルテミスウイメンズホスピタルに勤務している
助産師 佐々木奈美子さんのコラム

 
 皆さま、はじめまして。東京都東久留米市にあるアルテミスウィメンズホスピタルに勤務している助産師の佐々木奈美子です。2014年12月、トコ・カイロプラクティック学院の総合ベーシック試験に合格し、ケア師2級の資格をいただきました。

 3年くらい前から「吸引分娩や鉗子分娩ではなく、自然なお産ができる人を増やしたい」との思いで、骨盤ケア教室の企画を考えていました。しかし、以前勤務していた病院ではその企画は叶わず、退職して現在の病院に就職しました。ここでは、副理事長・病院長をはじめとする先生方のみならず、看護師長・スタッフのみなさんのご理解とご協力のもとに、骨盤ケア教室開催の運びとなりました。

 開催にあたっては、(有)青葉と提携して、教室に参加される皆さまに健美ベルトとオーガニックの厚手腹巻を、教材として配布しています。
 これは教室用品として特別にセットされたもので、さらに教室で使用するトコちゃんベルトや初期に用意するその他の物品なども、通常の仕入れ価格より少し安く提供してもらっています。そのうえ教室用の冊子や計測するメジャーなどは無料で提供してもらえるという、とてもありがたい提携です。
 教材のオーガニック厚手腹巻が大好評で、就寝時はベルト装着の位置で折り曲げると、ベルトの代わりになり、骨盤が安定します。また、授乳時にはブラジャーの代わりにもなり、寒さを防いでくれるアイテムにもなるので、冬に授乳期を経験している産後のお母さま方からは「こういうのがほしかった!」と、絶賛の声が聞かれます。

 (有)青葉の協力を得て教室を担当するには『施設に1名、トコちゃんベルトアドバイザー以上の資格を持つスタッフがいる』もしくは『メンテ“力”UPセミナーに参加した人であれば、アドバイザー資格を持つスタッフの管理下で行う』ことができます。
 骨盤ケア教室は、毎週金曜日、午前10時~12時の2時間で、1月9日(金)からスタートしました。初回は、妊娠22~26週の3人(経産婦…2人、初産婦…1人) の参加者しかなく、広報不足を痛感しました (-"-; 
 落胆しながらも、参加者のカルテで下調べをすると、経産婦さんの1人は前回の産後に腰痛があり、今も腰痛がある様子。もう1人は尿漏れありでした。初産婦さんは片頭痛あり。3人中2人は骨盤位でした。それぞれに問題を抱えていらっしゃったので「少人数で良かった~」と、胸をなでおろしました。
 おかげで初回は、1人1人の悩みを聞きながら進めることができ、参加された3人の方にはたいそう喜んでいただけました。私もとても嬉しく「これからもっと人数が増えても、やれる!」との自信が湧いてきました。

 これまでの参加人数は、1/9…3、1/16…5、1/23…8、1/30…3、2/6…5で、合計24名です。1/30は8人の予約が入っていたのですが、積雪でキャンセルが続出し、参加された方は「タクシーで来ました。すごい雪だったけど、何が何でも来たかったから」と、おっしゃってくださいました。
 始めてまだ1カ月あまりということもあり、参加人数がまだ少ないのですが、参加された妊婦さんは、「腰痛が軽減した」「体が軽くなった」「参加して良かった」「楽しかった」と満面の笑みを浮かべて感想を語ってくださり、私自身もパワーをいただいています。

【教室を始めてからの変化してきたこと】

① 妊娠28週未満の方を対象としているためもあり、24人中7人は骨盤位(さか子)でした。最近は、前回は経腟分娩をされた経産婦さんでも、 骨盤位で帝王切開になることが目立ちます。教室参加後に骨盤位がなおる妊婦さんが徐々に現れ始めましたので、骨盤ケア教室参加グループと、未参加グループで、骨盤位による帝王切開率に差が出てくるように思います。1年くらいしたら、2つのグループで比較をしてみたいと考えています。

② 腰痛が強い参加者の中には、足先まで痛みが走る方や、仙骨尖部(尾骨の付け根)がはっきりと左右にずれている人もあります。そんな方は、セルフケアだけではなかなか痛みは改善しないので、 2回目の参加時や妊婦健診時に、骨盤の筋肉や靭帯の緊張をゆるめるテイクケアをするようになりました。仙骨尖部が少し中央に戻ると、腰痛も軽減することが多く、喜んでいただけます。

③ 以前この病院に勤務していた助産師のなかに、渡部先生のもとで学んだ人がいて、彼女の頑張りのおかげで、私が入職した時には既に、トコちゃんベルトが活用されていました。ほとんどの助産師・看護師が、トコちゃんベルトの正しい使い方をマスターしていて、自分自身に使っている人も多くいました。

 骨盤ケアの三原則は「上げる、整える、支える」なのに、「上げる、整える」が実践されていなかったのです。それで私は、同僚一人一人にセルフケア体操の仕方を教え、三原則を実践しての効果を実感してもらうことで、骨盤ケア教室の必要性を理解してもらえたように思います。
 骨盤ケア教室を始めてから、メンテ“力”UPセミナーを申し込む助産師・看護師が増えてきました。多くの同僚が学んだ高度な知識と技術を、周産期ケアの中に活用していけたなら、「自然なお産」が今以上に増えて、地域の皆様にも更なる貢献が期待できます。
 
【これからは…】

 3月からは「仕事をしている妊婦さんにこそ、ぜひとも参加してほしい」という上司の熱い思いもあり、月2回ですが日曜日も開催することになりました。日曜日と金曜日の午後2時~4時の2回ずつの計4回/月に変更します。参加してくださる妊婦さんが増えるといいなと思います。
 (有)青葉の協力を得ることにより、教室を手軽に開催することができるので、資料作りなどが苦手な私も教室を開くことができました。全国には、私くらいの知識と技術を持っている助産師さんがたくさんいらっしゃるはずです。日本のあちこちで、骨盤ケア教室が開かれるようになったら、きっと、日本中に母子の笑顔が広がることでしょう。

 これからもっともっと、教室に参加される妊婦さんが増えるよう、私も頑張ります。ぜひ一緒に、骨盤ケアと笑顔の輪を広げましょう。