相模原市内の総合病院に勤務している河野真美さんのコラム
セミナーで学んだ技術を臨床で活用 ~その“恐るべき効果”のご紹介~
皆さん、はじめまして、河野真美と申します。私は、子どもが小さくて子育てが忙しかった8年半は、町田市内にある私立の保育園で働いていました。でも、子育てに少し余裕が出始めたことろから、「やっぱり助産師の仕事がしたい」と思うようになり、45才を過ぎてから相模原市内の総合病院の母子センターに就職し、今年で8年目になりました。
骨盤ケアについては、今の職場で初めて知りました。就職して2年目に入る頃、上司から「病棟に『骨盤ケア係』を作るので、一緒にして欲しい」と言われ、さらに、「骨盤ケアの看護研究をするように」と言われました。その流れで、その当時、近くの病院で働いていた助産師のOさんに依頼して、うちの病院で講習会をしてもらいました。また、Oさんが役員をしていた神奈川県看護協会の助産師職能セミナーでも、骨盤ケア講習会が開かれました。
その講習会を受講した後、渡部信子先生の骨盤ケアセミナーを受講し、トコちゃんベルトアドバイザー養成セミナーを受講したものの、苦手な筆記試験で不合格(c_c) 「再挑戦はもう少し勉強してからにしよう」と、母子フィジカルサポート研究会のセミナーやメンテ“力”UPセミナーを受講し、再挑戦でようやく、トコベルアドバイザーの資格を取得しました。
その後すぐに、トコ・カイロプラクティック学院の総合ベーシックセミナーに進み、何とか修了して、またすぐに、博樹先生のカイロプラクティックセミナーに進みました。今は解剖学書を片手に、博樹先生の講義を「何とか理解したい…」と、頭を抱えながら、受講している最中です。歳とともに物覚えも悪くなったことを、ひしひしと感じながらも、自分でも“無謀”と思いつつ、次々と上のコースに進まざるを得なかったのは、病院で接する人たちの中に、身体があまりにも悪くて、とうてい私の手に負えない人が多かったからです。
その一人、経産婦さんで、前回妊娠33週で激烈な腰痛のため帝王切開になった人がいました。今回の妊娠中に3回、腰痛で緊急入院しました。身体を診ると、脊柱が普通とは逆に(背中は前方向、腰は後ろに)彎曲していたのです! 操体法を指導して彎曲が少し改善したら、今度は肩甲骨の辺りで右に側彎してきました。「なんで~」とセミナーで上野さんに尋ねてみると、「胸の方向に引っ張っている硬いところがあるからでしょう」とのアドバイスが返ってきました。それで、本人に確認すると「心臓の手術をしたことがある」と! こんなことを経験しながら、「この人の悪いのは…? もしかしらたら…この辺かもしれない」というレベルまで、やっとたどり着いた感じです。
こんな私ですが、渡部信子先生や、博樹先生、上野順子先生から教えてもらったことを、いろいろと試してみています。それらの中で、最近経験した“恐るべき効果”を、いくつかご紹介します。
1.子宮内胎児発育遅延(IUGR)で管理入院の妊婦さんに、「ベッドを平らにして、寝る時はお尻の下に折り畳んだバスタオルや薄い座布団を入れて寝てね」と指導。結果、37週で2,300gの赤ちゃんを、無事出産しました。
2.準夜勤務中、帝王切開後に尿量が少なく、むくみがどんどんひどくなっている40才の妊娠高血圧症候群(PIH)の産婦さんに出会いました。「このままではもっと悪くなりそう」と思った私は、信子先生が「アキレス腱を暖めると尿がよく出る」と話されていたことを思い出し、保冷剤をレンジで暖め、太くて硬い方のアキレス腱に当ててみました。すると、次の朝までに7,000mlも尿が出たのです \(@@;/ もちろん血圧も高くなることなく、経過良好で退院できました。
3.「お乳の張りのあるときは、張っているところから肩や背中の方向をたどって行くと、必ず引っ張っているところが見つかるから、そこを緩めるといい」と上野順子先生から教えてもらい、さっそく「やってみよう!」と、産後のママたちに試してみました。すると、「ふわーって感じで張りが消えている!!!」と、とても喜んでもらえました。自分でできるケアとして、「服の上からタオルで乾布摩擦するように」と教えています。すると「楽になった」、「おっぱいが出るようになりました!」と喜んでもらえるので、私たちも手が取られず、とても楽です。
4.二十歳の姪のことです。立ったままトコちゃんベルトを着け、骨盤高位になると、なんと10 cm近くお尻が小さくなり、私は目を疑いました。立ち上ったとたん「あっ、なんか楽! ず~っと足がだるくて歩くのが辛かったのに~」と。きちんと着用しただけなのに、顔色も青白かったのが、頬がピンクに変わりました。「妊娠していない若い女性も、こんなことになっているのね~」と思ってしまいました。
5.同僚が激しい腰痛で緊急入院。「河野さん、なんとかしてあげて」と言われ、見に行くと丸まったまま、「動けません、痛み止めの薬も1時間しか効かなかった」と唸っているではありませんか。仕方がないので「アキレス腱を温め、足指回しでも…」と思って足を触ると、足の裏が鋼鉄のように硬い! 足指回しをしてから、足首回しをすると腰痛が軽減し、仰向けになれるようになり、ホッ。その後、ベーシックで学んだ下肢のケアの限りをして、トコベルトⅢ型を着けると、どんどん動けるようになり、3日で退院できました。
6.「四つん這いでお尻フリフリ」の効果を二つご紹介します。
1)私はこのところ分娩係になることが少ないのですが、「四つん這いで肘をついて、お尻を高くしてお尻フリフリをすると、回旋異常はなおる」という“ウワサ”が職場で広まり、分娩係の間で流行っています。
2)切迫早産の人の胎児心拍数が80回/分に低下したときも、焦る心を鎮めながら、これをしたところ、すぐに心拍数が回復して、無事に正期産できた人もいました。
ここに紹介したケースは、ほんの一部にすぎません。こうした経験を職場で話しても、反応はバラバラ。「新興宗教みたい」などと、事実を見ようともしない同僚もいて、悩むことも多いのですが、楽になるママたちの笑顔が嬉しくてやめられません。セミナーで先生に教えてもらうことだけでなく、セミナーで出会った人たちや、自主練習の仲間たちとおしゃべりしている中からも、学ぶことがたくさんあり、元気が出ます。
妊娠・出産を笑顔に変えるケアが、サラリとできるよう、これからも頑張って勉強を続けていきたいと思っています。