公立病院勤務助産師 Iさんのコラム
未来ある赤ちゃん達のために、少しでも役立つよう努力するぞ!
初めまして皆さん。Iと申します。あと5年もすれば定年退職を迎えるおばさん助産師です。こんな私が、この様な機会を頂き恐縮しています。
20代の頃は、今の私の年齢になれば、「妊産褥婦のケアで困ることはないだろう」と考えていましたが、実際は困ることばかりです。振り返ると平成8年~12年の間に大きく変わったと感じています。この間私は、内科に勤務していました。平成8年頃は、赤ちゃんの体重は3kg~3.5kgが普通でした。平成12年頃は、2.5キロ前後の赤ちゃんがほとんどとなり、3kgある赤ちゃんが大きく見えるようになっていました。
元気がなく姿勢の悪い妊産褥婦が多くなり、そんな妊婦の子宮内にいる胎児の姿勢も不可解で、胎児心音をトラウベで聴取しにくいと感じるようになりました。以前は、看護学生でも臍と上前腸骨棘の中点で、簡単に胎児心音を聴取できました。最近は、「ドップラーで聞こえるのは臍動脈音ばかりで、胎児心音はどうしても聞こえない」とのスタッフの声を、聞くことが増えてきたと感じます。
平成一桁の頃は、PIH(妊娠高血圧症候群)は年に1人~2人でしたが、最近は、月に5人前後は当り前です。以前はよく活用していたフリードマン頸管開大曲線は、今の産婦には合わないと感じます。また、回旋異常や、分娩時出血も多く、1L以上でも驚くことがなくなりました。さらに、退院後に弛緩性出血で再入院という、以前ではあり得ないことが、起きるようになっています。
鼠径部痛・恥骨部痛・腰痛で動けない方や、尿漏れが続く方も、以前では考えられないほど多くなっています。
赤ちゃんの抱っこの仕方を、何度説明しても、できず、常に頭部と臀部に手を置く“自己流”の抱き方をして、「これが私の抱っこなんです」と、助産師のアドバイスをなかなか受け入れようとしない方もおられます。そんな抱き方では、1か月もしないうちに手首を痛めて、抱けなくなってしまうのに。。。
赤ちゃんの反り返りは強く、向き癖も姿勢も複雑です。顎がずれている子、舌が前に出ず、哺乳瓶での授乳でさえ困る子もいます。渡部信子先生のセミナーに参加して、妊産褥婦の体の変化が、赤ちゃんの体にも影響していることを知りました。親の不摂生で、未来ある赤ちゃんの才能にも影響があるように思えてなりません。本当に恐ろしくてたまりません。
メンテ“力”UPセミナーやベーシックセミナーで学んだことを実行すると、妊産婦さんの苦痛は軽減し、とても喜ばれます。分娩が進まない方や、痔や下腹部の痛みを訴える産婦に、骨盤高位で骨盤輪支持を行うと、痛みが和らぎ、分娩がスムーズに進みます。骨盤輪支持をして、左右の捻じれのバランスを取ると、一瞬で激しい後陣痛の痛みが消えた人もあり、これには私もビックリ仰天でした。
泣きの激しい赤ちゃんを、おひなまきにして、まんまる抱っこをすると、ピタッと泣き止んでくれます。そんな場面を見た同僚たちは、まんまる育児の素晴らしさに、驚きの声をあげます。
5年後には私は退職していなくなるのですから、彼女達にもできるようになってもらいたくて、メンテ“力”UPセミナーや、新生児ケアセミナーを受講するよう、せっせと勧めています。
セミナーで学んだことは、まだまだたくさんあります。試してみると面白いほど良く効き、驚くことばかりです。活用方法の分からないものは、セミナー受講生同士で情報交換しながら活用をしています。骨盤ケアとまんまる育児の知識と技術を知れば知るほど、「これらがないと仕事ができない」と感じています。
日本の将来を支える赤ちゃんのために、これからも骨盤ケアとまんまる育児を学び、これらの技術を生かしながら、今の職場だけでなく、定年退職した後も、働き続けていきたいと考えています。
そして、この場をお借りして私は宣言します。「コツコツと学び続け、未来ある赤ちゃん達のために、少しでも役立つよう努力するぞ!」